京都の人気鍼灸師で、SNSでも人気の「すきさん」(本名:鋤柄誉啓 すきから・たかあき)が書いた『メンタル養生』が発売中だ。本書には「疲れていても気楽に読める」「現代人必携のセルフケアバイブルだと思う」など、多くの口コミが寄せられている。
本記事では、すきさんが多くの人を診療して得られた知見と、東洋医学の知恵をベースに、心がラクになるヒントを教えてもらう。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・宮崎桃子)

【4月・5月】疲れた人が、最初にやめるべき“シンプルな1つのこと”Photo: Adobe Stock

悩み:慣れない新生活に疲れました。どうしたらラクになれますか?

 春や新生活では、まずやめたほうがいいことがあります。
 それは「スタートダッシュ」です。

「短期決戦で一気にやってやろう」というスタンスは不要な力みを生み出して、パフォーマンスを下げてしまいます。動きも無駄が多くなりますから、すごく疲れる。

 毎年春になると、大学デビューとか社会人デビューみたいに浮足立つような機運が高まってきてます。

 これはある種の春らしい気持ちの変化ですから、自然と「最高のスタートを切ろう!」というようなキャッチコピーをよく見かけるようになるし、そんな気持ちになってきます。

 それでやる気になって結果を出せたらいいんですが、気負ってくたびれてしまうことありませんでしたか?

 人間というのは本来は「変化が嫌いな生き物」です。
 安定を好みますし、変化というのはどんなことでも疲れます。

 春になると職場や家庭などの社会的な環境も無理やりかき混ぜられてしまいます。
 これだけで、私たちの気力(エネルギー)は猛烈に消耗しているんですよ。

 だから疲れるのは当たり前で、無理をするようなタイミングではありません。
 甘えとかそういうことではないんですよ。

――疲れるのは当たり前と聞いてほっとしました。じゃあ、どうしたらいいんでしょうか…?

焦らないことが最大のセルフケア

 とりあえず、まずは事故らないことが大切です。

 こつこつ少しずつ上昇していって安定できる空域を目指すこと。「3ヵ月しのげばなんとかなる」くらいの感覚でいいんです。

 焦らないことが最大のセルフケアです。

 そしてもう一つ付け加えたいのは、自分が「完璧に元気」という前提で諸々を設計しないことも大切です。

 僕たちはつい「自分は元気である」という前提でスケジュールを組みがちです。しかし、多くの変化が起こる春は「見えない疲れ」が溜まりやすくなります。

 スケジュールは7割くらい、高望みをせず、今の自分の身の丈に合った頑張りを見極めることも大切です。

 もし体調を崩してしまったら、それは「今のやり方は合っていないよ」という体からの貴重なメッセージです。

 失敗ではなく、チューニングの機会だととらえてみましょう。

――たしかに、『メンタル養生』でも「1度にたくさん変えるのはやめよう」という項目がありました。

 新しい街や初めて会う人、部屋の配置、空気や匂い、細かい「初めて」の積み重ねは、思っている以上に「気」を使います。

 昔から、季節の変わり目の土用の頃には土いじりや転居を控えるようにと言い伝えられてきました。私はそれを、気候が不安定で体が弱りがちな時期に、わざわざ大きな変化を重ねないための知恵だと受け取っています。

(中略)

 変化は避けられないからこそ、変化のかけ方をやさしくする。それによって、次の季節や新しい環境にも、自然となじんでいきやすくなりますよ。

『メンタル養生』(P227)

――まさにこのとおりに、変化の多い春こそゆっくりのペースで、安定飛行をめざしたいですね。

(本記事は、すきさん著『メンタル養生』の著者インタビューです。)