【社説】FRBの新時代Photo:Sophie Park/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)次期議長候補のケビン・ウォーシュ氏は21日に開かれる上院銀行委員会での指名承認公聴会で、ドナルド・トランプ大統領からのFRBの「独立性」について立て続けに質問されるだろう。これは注目すべき本筋のメロドラマではない。もっと重要なのは、21世紀に入って自ら損なってきた独立性をFRBに取り戻させるというウォーシュ氏の野心だ。

 今となっては思い出すのが難しいが、1990年代はFRBの近年の歴史における黄金時代のようなものだった。それまでにポール・ボルカーFRB議長とロナルド・レーガン大統領がインフレを退治していた。アラン・グリーンスパン議長はディスインフレ(物価上昇ペースの鈍化)への道をたどり続けた。ウェイン・エンジェル氏を理事に迎え、グリーンスパン氏率いるFRBは金融政策の指針として準物価ルールに従っているように見えた。この時代は「グレートモデレーション(大いなる安定)」として知られるようになった。

 2000年代に入ると、FRBがドットコム・バブルの崩壊や、2001年9月11日の米同時多発テロの余波に対処する中で、そうした状況は変わり始めた。ベン・バーナンキ氏が理事に就任し、デフレへの懸念を広めた。それに応じる形でグリーンスパン氏は、景気が力強い回復期に入っても、しばらくはフェデラルファンド(FF)金利を1%に据え置いた。こうして資産バブルと熱狂的な信用膨張が始まり、それが住宅市場の好況と落ち込みにつながった。

 2008年の金融危機の間に、バーナンキ氏率いるFRBは量的緩和策を導入し、FRBのバランスシートを膨張させた。FRBは「超過準備」に基づく金融政策や、財政政策と資本配分へのより深い関与を特徴とする新時代を切り開いた。バーナンキ氏はこうした介入について、危機が終われば終了すると約束していたが、FRBは自らの権限を拡大し続けた。