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ガソリン高騰、低中所得層の生活苦に追い打ち
開戦前から食料価格や家賃は値上がり
米国、イスラエルが2月28日に仕掛けたイランへの軍事攻撃は、イラン側の反撃やホルムズ海峡の事実上の封鎖による原油などのエネルギー価格高騰で世界を巻き込む事態だ。
米国の原油指標(West Texas Intermediate:WTI)の先物価格は一時119ドル/バレルまで急騰、その後も、トランプ大統領および政権幹部の発言や一部船舶の同海峡通航の報道など、その時々の情勢で乱高下が続く。
4月7日は、トランプ大統領が米国とイランの間で「2週間の停戦合意」を発表、WTI先物価格は1バレル90ドル台まで低下、株価も上昇した。しかし、その後もイスラエルによるレバノン攻撃などは続いており、また停戦をめぐる米国とイランの主張には隔たりがあり、ホルムズ海峡の航行回復も含めてイラン情勢が落ち着くかどうかは不透明だ。
米国内でもガソリン価格の高騰などで、攻撃への批判が強まり、トランプ政権が11月の中間選挙を意識し、早期収束、一方的な戦闘停止に動くとの見方も出ているが、2日の演説は出口戦略などには触れないままだった。
戦争長期化の懸念やホルムズ海峡の航行回復のめどが立たないことから、3日のWTI先物価格は再び、113ドル台まで上昇した。
米国経済は、開戦前から食料品や家賃などの値上がりで低中所得層の生活が圧迫される「アフォーダビリティー危機」にあえいでいる。トランプ政権が停戦合意を急いだのも、11月の中間選挙を意識し、インフレ再燃や景気減速を回避することを重視したものだ。
しかし3日発表された3月の雇用統計(速報値)では、景気動向を敏感に示す非農業部門の就業者数が、前月比は17.8万人増と市場予想(6万人増)を大幅に上回ったが、一方で、インフレは今後も高止まりが予想される。
原油価格高騰は米国でもガソリン価格などに敏感に反映されており、イラン情勢泥沼化やホルムズ海峡の封鎖が長引くほど、米国経済自体も世界経済の減速かの影響を受け「スタグフレーション」入りのリスクが高まる。







