グルーバイオのエイドリアン・コントレラス氏(米サンディエゴの組織培養室)
米製薬大手ファイザーにとってがん治療の革新的な方法を見つけることは最優先事項だ。最先端技術を強化するため、同社幹部は中国の瀋陽に向かった。昨夏、ファイザーはがん治療薬候補の権利を得るため中国バイオ医薬品会社の三生製薬(スリーエスバイオ)に12億5000万ドル(約1990億円)を支払った。
少し前まで、中国の医薬品研究は遅れていた。中国企業は医薬品原料や低価格のジェネリック医薬品(後発薬)を製造し、中国の患者は、大手製薬会社が欧米で開発した医薬品を販売する機会をもたらしていた。
だが今や中国はバイオテクノロジーの主要プレーヤーだ。中国の研究者やスタートアップ企業は、がんや肥満症などの疾患に対する画期的な新薬の開発を競っている。その多くは分子生物学の最先端にある。
ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は「中国は、これまで見たことのないレベルでイノベーションを結集している」と述べた。
製薬大手や投資家はイノベーションを活用しようと、三生製薬が開発しているような有望な中国発の医薬品候補の権利を確保するために多額の資金を投じている。
商業インテリジェンス企業エバリュエートによると、欧米と日本の製薬会社は昨年、中国のバイオテック企業と計70件の取引を行い、有望な分子の権利を得るために総額約56億ドルの契約一時金を支払った。
今年はこれまでに、30件の取引で約19億ドルを支払ったという。
バイオテクノロジーは、中国が国家の優先事項として指定した先端技術の一つ。人工知能(AI)や電気自動車(EV)と同様に、中国のバイオテクノロジーはここ数年で急成長しており、中国の医薬品研究は間もなく欧米を追い越す勢いだ。
この急速な進歩は患者にとって救いとなる。中国は命を救う医薬品の新たな供給源となるだけでなく、より安価な供給も約束している。







