かたや、アメリカ人はアクティブセーフティー派です。以前、アメリカでレンタルバイクを借りたときに、スタッフからこう言われました。「君は日本人だからヘルメットをかぶるだろう?」なぜそのようなことを聞くのか、不思議に思って尋ねました。
すると、アメリカ人はヘルメットをかぶると視野が狭くなってかえって事故を起こしやすくなる、と考えていることがわかりました。
ヘルメットはかぶらない代わりにサングラスを着用してしっかり前をみて運転する、そのほうが事故を起こしにくいと言うのです。
日本人は事故が起こることを想定して何重にも対策をする一方、アメリカ人は事故を起こさないようにするにはどうすればいいかという視点で対策を考えているのだな、と感じた出来事でした。
「命綱をつけているから大丈夫」
その判断で老人は命を落とした
私が提案したいのは、アクティブセーフティーとパッシブセーフティーの考え方をバランスよく持ち合わせることです。そうすれば、いつ何が起きるかわからない人生という「綱渡り」から転落することなく、バランスを保って長く歩いていくことができます。
前述の作業中に亡くなったおじいちゃんは、転落したときのための安全帯はつけていました。パッシブセーフティーの意識はあったようですが、それだけで命を守ることはできませんでした。
もし、このおじいちゃんに「そもそも危険なことはしない」というアクティブセーフティーの考えがあったら?きっと「高所での作業はしない」という判断ができ、命を落とすこともなかったはずです。
では、どうすれば私たちはアクティブセーフティーも意識するようになるのでしょうか。
私が考えるのは、自分の体内の状況や判断力についての客観的な評価をもらって、自分の老化を自覚することです。これに尽きるのではないかと思います。
『私たちはなぜ死ぬのか 法医学者が語る「永く、よく生きるための技術」』(高木徹也、CEメディアハウス)
たとえば運転免許に関して言えば、現在は70歳以上を対象とした高齢者講習や認知症の検査が始まり、客観的な評価をもらえる環境が整いつつあります。
それ以外ではやはり、病院での健康診断を受けて自分の身体機能についての客観的な評価をもらうことが必要です。家族や友人など、周りの助言に耳を貸すことも必要でしょう。そのような態度が、自分や身内だけでなく、他人の命を守ることにつながります。
健康診断を活用して、自分の体力や判断力について客観的な評価を受けることも重要です。仮に結果が異常なしでも「異常なしでよかった!」と安心して終わらず、1年前や3年前と比較して数値がどのように変化しているかに着目してみましょう。
少しずつでも身体機能が衰えている兆候があるのなら、無茶をしないように気をつける、数年前や若いときと同じ感覚で行動しない、といったことをぜひとも心がけてください。







