92歳の現役看護師が教える、健康的に生きるのに「いい加減」が大事なワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

軽度も含めると国内の認知症患者は1000万人とも言われる。認知症の要因のひとつにあげられるのが生活習慣だ。認知症にならないための生活習慣を92歳の現役看護師、川嶋みどり氏が説く。本稿は川嶋みどり著『長生きは小さな習慣のつみ重ね 92歳、現役看護師の治る力』の一部を抜粋・編集したものです。

長く生きるために必要な
健康的な生活習慣とは

 みなさんは、こんな経験はありませんか? 「頭が痛かったけれど、休んでいたら治った」「トイレに何度も駆け込んだけれど、数時間後には治った」などです。治ったのは、あなたの「治る力」が働いたからです。

 そうやって「治る力」を十分に使って生きるのが“健康に生きている”ということです。

 呼吸をする、食べる、眠る、働く(動く)、トイレに行く、体を清潔にする、住環境を整える、休養をとる……。こうした習慣が維持されていることが、健康の大前提です。反対に、習慣が破綻すれば病気になります。

 浅い呼吸、食べ過ぎ、睡眠不足、トイレを我慢する、お風呂に入らない、掃除をしない、休まないで働き続ける……。日々の習慣が崩れることは、体には大きなストレスになります。

 短い期間なら耐えられますが、これが続けば体のどこかに不調が出始めます。それでもなお崩れたままにすれば、病気になっていく。それがいわゆる“生活習慣病”です。

 習慣を変えずに薬に頼ったり、放っておいたりすれば、悪化していくのはあたり前です。その結果、がん、脳卒中、心筋梗塞、肥満、高血圧症、糖尿病など、生活習慣病の発症につながってしまいます。

 健康的な生活習慣を維持し、治る力が働いていれば、日々のちょっとした不摂生や不調は修正できてしまうものです。

 また、日々の習慣を維持すると、体調の変化にも気づきやすくなります。「あれ? いつもと違うな」と、小さな異変を感じるようになるのです。

 昨今認知症も、生活習慣が原因と考えられるようになっています。たとえば、認知症の1つにアルツハイマー病があります。

 よく「脳にゴミがたまる」とか「脳が萎縮する」などと表現される病気です。脳に異常なタンパク質(アミロイドβ)が蓄積していき、脳神経が少しずつ死滅していってしまうのです。

 25年ほどかけて進行し、発症するとされていますから、80歳でアルツハイマー型認知症になる人は、55歳のときから始まっていることになります。

セルフケアで認知症予防を
生活習慣を維持するポイント

 なぜ、脳にゴミ(異常なタンパク質)がたまり始めるのか? そこには生活習慣も大きく影響している、と考えられるようになりました。

 食事や睡眠、運動、ストレス、不衛生な環境、不摂生などの悪習慣が続くことにより、それまでなら普通に除去できていたゴミが少しずつたまるようになってしまうのです。また、より多くのゴミが発生するようにもなります。