ストレスと死の知られざる関係写真はイメージです Photo:PIXTA

過労や強い怒りが引き金となり、人が突然命を落とすことがある。しかしその多くは、はっきりとした病気として説明されるわけではない。解剖しても決定的な異常が見つからず、原因が見えにくいまま処理されるケースも少なくない。数多くの異状死体を見てきた筆者が、ストレスと死の知られざる関係を語る。※本稿は、法医学者の高木徹也『私たちはなぜ死ぬのか 法医学者が語る「永く、よく生きるための技術」』(CEメディアハウス)の一部を抜粋・編集したものです。

ストレスで人は死ぬのか
働き盛りを襲った突然死の正体は

 長年生きていると、誰でも精神的に参ったり、大きなストレスを感じたりする時期があります。ここからは、ストレスと死の関係について考えていきたいと思います。

 過度なストレスがかかると、心身の不調が起きることはみなさんもご経験があると思います。それが一時的なものならよいのですが、長期間続くと、若く健康だった人でも命を落としてしまうことがあります。

 過労によって心身の不調に陥り、結果として自殺に追い込まれる人も後を絶ちません。

 ただ、ストレスは主観的なものなので、その度合いを正確に測ることはできません。同じ仕事量をこなしている人が2人がいても、それぞれの精神的・肉体的許容量は違いますから感じるストレスも異なります。

 職場でストレスチェックを実施しているところも多いと思いますが、本人の実感とスコアをみて産業医が判断するストレスの度合いにはかなりの差が出る場合もあるため、ストレスチェックも万能ではありません。

 また、解剖によっても、亡くなった方が生前受けていたストレスの度合いを測ることはできません。ただ、働き盛りの20代や30代後半の男性が不整脈によると考えられる突然死をした場合、生前の仕事量や勤務形態、睡眠、休暇取得の状況などの影響を否定できないことがあります。