しかも、一度上がった価格は戻りにくいもの。企業側も上がった仕入れや人件費を抱えており、いったん通った値上げを簡単には戻さないからです。
こうした傾向を踏まえて取れる対策の一つは、できる範囲でサービスの価格を固定化してしまうことです。
ある女性経営者は言います。
「長年、自宅に来てくれているハウスキーパーさんに、今回はじめて長期契約を結ばせてもらったの。長期契約だから値段も通常より割り引いてもらったし、値上げって言われる前に固定化できてよかったわ」
モノだけでなく、将来確実に上がる「サービス価格」を固定してしまう。これもまた、インフレ時代の富裕層らしい防衛策と言えるでしょう。
「円預金しか持たない状態を放置」
してはいけない
資産運用においては何をすべきでしょうか。
結論は単純で、「円だけに偏らないこと」、そして「預金だけに頼らないこと」です。
もっとも、ここで多くの読者はこう思うでしょう。
「円しか持たないのが危ないのはわかる。でも、1ドル160円近いこの水準でドルを買うのも怖い」
「なんだかんだ日本株は最高値圏にいるのに、今5万円台で買うのはどうかと思う」
これは全く正常な感覚といえます。
ただし、それと「円預金しか持たない状態を放置する」こととは別の話です。
大切なのは、為替や株価の天井と底を当てることではなく、「偏りを直す」ことです。
問うべきは「今160円でドルを買うべきか」ではなく、「円しか持っていない状態を、この先どうやって修正していくか」です。
通貨や預金などのポートフォリオの分散は勝ち負けではなく、一種の保険です。一括で動くのではなく、時間を分けながら、円だけでなく、毎月少しずつでも偏りを薄めていくという、この発想が重要です。
会社を数十億円単位で売却したある資産家はこう言います。
「円だけを保有するのはリスク。よって多くはドルにしている。しかし、これから衰退するドルを持つのもいかがなものか。人民元は管理変動相場制なので、まだ保有は現実的ではない。通貨分散を考え、消去法的に英ポンドを持っている」
短期的に見ると、日本円は対ドルで円安に見えます。しかし、視点を1970年代からの超長期で見ると、決して今は歴史的な超円安とも言い切れません。







