『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳』(ダイヤモンド社)は、7000人の脳を診察し、3000本以上の論文を読破した脳の専門医が、科学的根拠に基づいて「一生ボケない脳のつくり方」を徹底解説した1冊。【血圧】【食事】【睡眠】【速歩】【呼吸】【お酒】の習慣術で、100歳まで健やかな脳を育てるノウハウを紹介する。
※本稿は、『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳』(ダイヤモンド社)をもとに編集したものです。

【脳の専門医が教える】認知症につながる恐れも…脳の「血流悪化」がもたらす影響とは?Photo: Adobe Stock

なぜ脳が静かに衰えていくのか?

最近、「人の名前がすぐに出てこない」「探し物が増えた」など、ちょっとした物忘れが気になり始めていませんか? 年齢のせいだと諦めたり、将来の認知症に対して不安を抱えたりしている方も多いでしょう。

実は、脳の働きが低下していく背景には、私たちが気づかない間に進行する「血流の悪化」という問題が隠されています。なぜ脳が静かに衰えていくのか、そのメカニズムと脳の寿命を延ばすための対策についてお話しします。

「動脈硬化」の正体とは? 血管で起きていること

私たちの体中に酸素や栄養を運ぶ血管、特に「動脈」は、加齢や生活習慣の影響を大きく受けます。たとえば、血圧が高い状態が続くと、絶え間ない圧力に耐えようとして動脈の壁は分厚くなっていきます。

壁が厚くなれば、当然ながら血液が流れる「内腔(内側の空間)」は狭くなります。これは、長年の使用で汚れが溜まり、流れが悪くなった水道管のような状態です。

さらに悪いことに、高い圧力によって動脈の壁は傷つきやすくなります。すると今度は、その傷を修復しようとして「コレステロール」などが集まってきます。その結果、血管の通り道はさらに狭まり、本来のしなやかな弾力性を失ってカチカチになってしまいます。これが血管の老化、すなわち「動脈硬化」の正体です。

「詰まらなければ安心」ではない残酷な現実

狭く、硬くなってしまった動脈は、非常に危険な状態です。「血栓」と呼ばれる血の塊が、その狭くなった場所で詰まりやすくなるからです。この「詰まり」が心臓の血管で起これば「心筋梗塞」、脳の血管で起これば「脳梗塞(脳卒中)」といった、命に関わる重大な事態を引き起こします。

しかし、ここで知っておくべき、さらに深刻な事実があります。それは、たとえ「血管が詰まる」という最悪の事態に至らなくとも、動脈硬化による「血流の悪化」そのものが、確実にあなたの脳を蝕んでいるという現実です。

脳は、体の中でも非常に多くのエネルギーと酸素を消費する臓器です。血流が悪くなれば、脳の細胞に十分な栄養が届きません。その結果、脳は少しずつ静かに衰え、物忘れや認知機能の低下といった症状として表れてくるのです。