「すごいね」「助かったよ」――その褒め言葉、部下には届いていますか。具体性のない賞賛は、承認どころか不信感を生みかねない。信頼を育てるのは、甘い言葉ではなく「ちゃんと見ている」と伝わる褒め方です。
SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超え、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった、誰でも「しごでき」になれる令和リーダーの基本を本記事で紹介します。

具体的な理由とセットで褒める
「部下のモチベーションを上げるために、とにかく褒めましょう」
「部下の承認欲求を満たすために、小さなことでも口に出して褒めましょう」
世の中のマネジメント本には、このようなアドバイスがあふれています。
これを真に受け、心にもないお世辞を言ったり、無理やり褒めるポイントを探したりしている上司も多いのではないでしょうか。
しかし、安易な「褒め」は、部下のモチベーションを上げるどころか、「この上司は信用できない」と思われる原因になります。
上っ面の言葉は部下に見透かされている
なぜ、褒めているのに信頼を失うのでしょうか。
それは、部下もまた何十年と生きてきた「人間のプロフェッショナル」だからです。
何千人との会話を経てきた彼らは、「ウソっぽい」「ただの機嫌取りだ」「本心ではそう思っていない」という空気感を敏感に察知します。
特に最悪なのが、「具体性のない褒め言葉」です。
「すごく頑張ったね、すばらしいよ」
「君の笑顔のおかげで、場の空気が和んだよ」
「やっぱりAさんはセンスがいいね」
これらは「誰に対しても言える言葉」であり、「何がよかったのか」がまったくわかりません。
具体性のない賞賛は、部下にとって「定型文」にしか聞こえず、「私のことをちゃんと見ていないのに、適当に褒めている」という不信感しか生まないのです。
「すごい」で終わらせず、「なぜ」を伝える
では、どうすれば心に届く賞賛になるのでしょうか?
答えはシンプルです。
「なぜ褒めているのか(具体的な理由)」と「それがどう役に立ったか(成果・貢献)」をセットで伝えることです。違いを見てみましょう。
【ケース1:提案資料の作成】
×「今回の資料、すごくよかったよ。頑張ったね」(部下の心の声:どこが? 読んでないんじゃないか?)
○「提案書の3ページ目に入っていたグラフ、あれは一目瞭然でわかりやすかったよ(理由)。おかげでお客様への説明がスムーズにいって助かった(成果)」
【ケース2:他部署へのヘルプ】
×「Aさんはいつも気が利くね。助かるよ」(部下の心の声:都合よく使われているだけじゃないか?)
○「自分のルーティン業務を前倒しで終わらせて、営業管理部の発送作業を自ら手伝いに行ってくれたね(理由)。あの動きのおかげで、チーム全体のスケジュールが半日前倒しで終わったので、本当に助かったよ(成果)」
【ケース3:お客様対応】
×「君の笑顔は最高だね」(部下の心の声:セクハラか? バカにしてるのか?)
○「お客様が困りごとを話されているとき、誰よりも深く頷いてリアクションしていたね(理由)。あの相槌のおかげで、お客様が本音を話してくれて、次の大型提案につながりそうだ(成果)」
「褒める」とは、「見ている」という証明
いかがでしょうか。「具体的な理由」を添えて褒めるためには、上司が部下を「観察」していなければなりません。
「どこが良かったのか」「それがどう組織や顧客の役に立ったのか」まで具体的に言及されて初めて、部下は「この上司は、私の仕事をちゃんと見てくれている」、「私の出した価値を正しく評価してくれている」と確信します。
信頼とは、甘い言葉からではなく、「正しく見られている」という安心感から生まれるのです。
(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』から一部を抜粋・編集し作成しました)














