「ジャリパン」は、宮崎の人にとって「メロンパン」のように定番カテゴリーの一つとなった。販売からしばらくしてミカエル堂がジャリパンを商標登録しようとしたときには、すでに一般名詞化しており、登録は認められなかったという経緯がある。
しかし、結果として他社からも独自のジャリパンが発売されたことで、宮崎のソウルフードとしての地位は不動のものとなった。
ミカエル堂は店舗販売にとどまらず、スーパーマーケットへの卸売りや、学校給食への供給で事業を拡大。安定した売上規模を維持してきたが、価格はずっと据え置いていた。そこへコロナ禍が直撃し、人件費や原材料費の高騰に苦しむ。昭和の前半から使い続けてきた製造設備も、老朽化によりいよいよ限界を迎えていた。
そんな折、都成氏が大病を患い、ついに廃業を決意。長年の取引先に「今後は出荷しません」と告げ、店頭には閉店を知らせる貼り紙を出した。取材に訪れた地元メディアにも、廃業の意向を示し、大きく報じられた。
社名を開示して
後継者を募ることを決意
都成氏にとっての唯一の心残りは、長年守り続けてきた「ミカエル堂」の屋号、そして「ジャリパン」というメニューの存続だった。
そんな折、相談していた社会保険労務士からある提案を受ける。宮崎県内の事業承継で実績を上げている新しいサービスがあるというのだ。それが、ライトライトが運営する「relay」を活用したオープンネーム型事業承継だった。
ミカエル堂3代目の都成五男氏 写真提供:ミカエル堂
従来の事業承継は、取引先への影響や情報の漏洩を懸念し、「クローズド(非公開)」で水面下に進められるのが一般的だ。しかし「relay」は、あえて最初から社名や経営者の想いをオープンに公開して後継者を募る。ミカエル堂のように地域に根ざしたブランドであれば、社名を出すことで熱意ある候補者を引き寄せられる可能性が高まる。都成氏は、この「relay」に最後の希望を託すことに決めた。
「市民に愛される思い出の味。宮崎市の老舗パン屋『ミカエル堂』が後継者を募集!」
そんな見出しで、2023年3月に後継者募集の記事がインターネット上で公開されることになった。







