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キリスト教とイスラム教の対立のように、世界では宗教観の違いが争いの火種になることが珍しくない。しかし日本では、神道と仏教という大きく異なる宗教が共存してきた。日本人特有の宗教観の謎を専門家が解き明かす。※本稿は、宗教学者の島田裕巳『大乗仏教はなぜ日本人を魅了したのか』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
どの宗教の分類にも
当てはめられない神道
宗教の分類の仕方としては、様々なものがある。
「世界宗教」と「民族宗教」という分け方がある。民族宗教が、1つの民族において信仰され、その外側には広がっていかないのに対して、世界宗教は、民族の枠を超え、広い地域で信者を獲得していく。
神道は、日本でのみ信仰されているので、民族宗教の1つになる。他に、中国の道教や儒教、インドのヒンドゥー教、それにユダヤ教などが民族宗教に分類される。一方で、仏教、キリスト教、イスラム教は世界宗教としてとらえられる。
それとは別に、「創唱宗教」と「自然宗教」という分け方もある。
自然宗教は、それぞれの民族において自然発生した宗教をさし、民族宗教ともおおむね重なる。それに対して創唱宗教は、特定の創唱者、つまりは教祖、開祖が存在する宗教のことをさしている。
世界宗教はすべて創唱宗教になるが、道教や儒教においても、老子や孔子といった開祖がいる。その点で、この中国生まれの宗教は民族宗教でありつつ創唱宗教であることになる。神道には創唱者に相当する人物はいないが、ユダヤ教でも、モーセは神から十戒を授かっており、その点では創唱者にかなり近い。







