ブラック企業の営業マンかよ…「お坊さんの派遣会社」が寺院を〈法要獲得ポイント〉でランキング化、僧侶はゲンナリ写真はイメージです Photo:PIXTA

私は東北地方某県に存する東法院の住職だ。しかし現在の私は葬儀や法事に「派遣される僧侶」としてどうにか暮らしを立てている。本書の内容は、私が実際に体験した事実にもとづいていることを仏に誓ってお約束する。※この記事は、松谷真純『葬式坊主なむなむ日記』(三五館シンシャ)の一部を抜粋・編集したものです。ペンネームであり、宗派や寺、派遣会社や登場人物などは全て仮名です。

某月某日 獲得ポイント
僧侶派遣会社からの指令

「みんなのお葬式」(仮名)は業界大手の“葬儀ブローカー”である。実際、複数の派遣会社とつき合いのある私にとっても「みんなのお葬式」からの紹介案件が仕事の8割を占める。

 その社是は「葬儀全般を透明化する」らしい。NHKや民放テレビで取り上げられる際には、格安葬儀を実現した「消費者の味方」として喧伝されている。マスコミにとっては「最近の葬式事情」など番組に話題を提供し、時に自社媒体に広告を出してくれる優良顧客でもある。

 しかし、その実態は下請けの葬儀社から4割程度、僧侶から5割以上の紹介料を取る“ピンハネ業者”だ。

 その「みんなのお葬式」からメールが届いた。

【提携寺院各位
平素は弊社事業運営にご協力いただき、厚く御礼申しあげます。(略)
今後は過去に出仕いただいた御葬家に回忌法要のご案内の電話を行なっていただくことをお願いすることになりました。
なお、一周忌、三回忌、七回忌などの法要の依頼獲得をされた寺院さまには、葬儀に関する新規の案件を優先的に紹介させていただきます】

 わかりやすく説明すると、「みんなのお葬式」は、同社を通じて葬儀関連の仕事を紹介された僧侶に、過去の葬家(施主)に対して「営業電話」をしろ*と言っているのだ。さらに法要依頼が獲得できなければ、つまり「営業成績」が優れていなければ、新しい仕事は斡旋しないと脅しているわけである。