米ニューヨーク市の実業界で名の知れたトム・ハリス氏は4月、オフィス近くのドラッグストアで目薬を購入した。その際、施錠されたアクリルケースの中から商品を店員に取り出してもらう必要はなかった。同氏は、一見すると平凡なその行為から、市内でまん延していた万引が減り、治安が改善している兆しを感じ取った。マンハッタンの経済団体で約2600の会員を擁するタイムズスクエア・アライアンスの会長であるハリス氏は、以前は小売業者から窃盗被害に関する電話を1日に何件も受けていたと話す。それが今では、「小売業者から手に負えない万引について苦情を言われたのは、いつが最後だったか覚えていない」という。ニューヨーク市警(NYPD)は、新型コロナウイルス流行後に市内全域、そして全米の事業者を直撃した「万引危機」への対処で成果を上げている。市内の小売店窃盗件数は2026年1-3月期に前年同期比で20%以上減少した。25年も改善し、前年比14%減の5万2682件となっていた。