アンソロピックのダリオ・アモデイCEOクロード・ミュトスを開発したアンソロピックのダリオ・アモデイCEO Photo:AFP=時事

アンソロピックの「クロード・ミュトス」のような異次元AIが普及すれば、大企業の大量リストラ「AI失業」は避けられません。しかし実はこの恐怖こそが、低迷する日本経済を救う“希望”になるかもしれません。絶体絶命のピンチが日本を救う驚きの理由とは?(ノンフィクションライター 窪田順生

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異次元の性能もつAIが
低成長の“元凶”をぶっ壊す

 神レベルの能力で悪用されたら危なすぎて一般公開できない――。4月7日、米Anthropicが発表した、開発中の次世代大規模言語モデル(LLM)「Claude Mythos Preview」が世界に衝撃を与えている。

 人間が何十年も気づくことができなかったシステムの脆弱性をわずか数時間で見つけ出すことができるなど圧倒的な能力の高さもさることながら、注目されているのは「自律型進化」ができる点だ。

 初期バージョンでは、とあるテストの答えを禁止された手法で入手した後、これを申告せずに独力で問題を解こうとしたという(ITmedia AI+ 4月8日)。また、研究者がミュトスを隔離された環境に閉じ込め、脱出を指示したところ成功した後に、こちらが指示をしていないにもかかわらず、脆弱性を突くプログラムコードをWeb上に公開したという(ITmedia AI+ 4月8日)。よくSF映画に登場する「人間より賢いAIが自分の判断で勝手に行動する」ことを彷彿とさせるエピソードだ。

 そんな「ミュトスショック」は日本にも及んでいて、政府が関係省庁やメガバンクなどがミュトスを防御面で活用できるよう調整を進めている。

 一方でこの衝撃は、経済分野にも及んでいる。今後、同レベルのAIが普及していけば、これまで議論だけが先行していた「AIに仕事を奪われる」が本格的に広まっていくことは必至だ。海外ですでに起きている大企業の大量リストラや「AI失業」が予想されるからだ。

 ただ、個人的にはそんなに悪い話ではないと思っている。むしろ、ミュトスのようなハイレベルなAIがどんどん普及していくことで、日本経済を長く低迷させてきたある問題が改善されていくと思っている。