ワールドシリーズの連投劇は
ロバーツ監督の信頼の証し
22年のシーズン終了後、井口は監督を勇退し、解説者に。24年、山本はメジャーに移籍。また新しいフィールドで井口はメジャーリーガー・山本由伸を見つめ続けることとなった。
「本当に今の山本はおそらくイメージしたとおりのピッチングができていると思いますし、1年目より2年目、と間違いなく自信をつけているので、その自信がピッチングにも反映されていますよね。
メジャーというのは厳しい世界ですから、どんなに素晴らしいピッチャーでも、毎年、同じ投球をしていたら絶対に通用しない。データで丸裸にされているわけですから。
山本は常に向上心を持っていて、自分のちょっとした弱点を補うために新しい球種を覚えて、投球のバリエーションを増やした。それがさらにパワーアップしたピッチングの鍵だと思います」
そんな自信のピッチングとパワーアップの象徴ともいえるのが、25年のワールドシリーズでの連投劇だった。
「びっくりしましたね。中0日での連投なんて、普通、ぶっ壊れますよ(苦笑)。それ以上に『えっ、こんな場面で投げさせるんだ』と驚きました。ワールドシリーズ第7戦、9回1アウト一塁、二塁ですからね。気持ちでつないでいくのもしんどいですよ。
ただ、逆に考えたら、ロバーツ監督が『ここは山本しかいない』と判断した。もっと言えば『山本で負けたら、もう仕方ない』と覚悟を決めての采配じゃないですか。実際、シーズンを振り返ってもチームの連敗を山本が止める、という局面が何度もありましたよね。
その積み重ねからくる信頼ですよ。それだけ信頼されているというのが、今の山本を物語っていますし、その信頼に結果で応えてみせるのはやっぱりすごいことです」
井口資仁が思う
「サイ・ヤング賞」への道
まさに「世界でいちばん信頼されている投手」であるが、井口は「まだまだこんなもんじゃない。むしろ、伸びしろしかない」と、26年以降、さらなる飛躍を遂げると力説する。
「先ほど、山本のことを『体力おばけ』と評しましたけど、あれだけの体力があれば、中4日でのローテーションでも十分投げられる。それが実現したら、年間20勝も見えてくる。
日本では投手タイトルを総ナメにしましたけど、20勝を超えたら、メジャーでもそうなっていくし、サイ・ヤング賞も射程圏内になる。タイトルを獲得することで世界的な評価もさらに上がっていくでしょう。
『証言 山本由伸』(牧秀悟、工藤公康、井口資仁、五十嵐亮太、金子千尋、西村徳文、高山郁夫、入来祐作、星野伸之、能見篤史、増井浩俊、矢田修 ほか 宝島社)
何より大きいのはチームメイトに大谷翔平がいるということです。絶対に本人は口にしないでしょうけど、『二刀流でやっている人間には負けられない』という思いはあるはずなんですよ。
大谷も大谷で、『二刀流でやる以上、ピッチャーとして山本に負けたくない』と、当然考えますよね。そうやってチーム内のライバルがお互いを強烈に意識しながら、切磋琢磨していくことによって、二人も成長するし、結果としてチームはさらに強くなる。
ここからの山本が楽しみですし、26年もキャンプからしっかり取材で追いかけていきたいと思います」







