サイバー戦という「第5の戦場」の脅威、“米国イラン戦争”ですでに実証イランでは、米国とイスラエルによる軍事攻撃を受けて、2026年2月28日以降、ほぼ全面的なインターネット遮断が続いている Photo:NurPhoto/gettyimages

サイバー攻撃でイランの対空ミサイル発射阻止
国内のインターネットを遮断状態に!?

 システムやソフトウエアの弱点を見つける能力を劇的に高めた高性能AI(人工知能)「ミトス」の登場は、金融機関や病院、通信などのインフラへの大きな脅威となっているが、サイバー攻撃は、軍事作戦でも新たな“武力”となり、重要な役割を担い始めている。

 具体的な例としては、2025年6月にアメリカがイランの核施設攻撃の際にサイバー戦を仕掛けたことがある。

「ミッドナイト・ハンマー作戦」(Operation Midnight Hammer)と呼ばれる軍事作戦によって、アメリカ軍は6月22日に、イランのフォルド、ナタンズ、イスファハンの3カ所の核施設を攻撃した。

 その際、これらの施設と接続された別の軍事システムに対するサイバー攻撃を行い、イランがアメリカ軍機に対して地対空ミサイルを発射するのを防ぐことができたという。

 サイバー攻撃とは、不正アクセスやマルウエア(不正プログラム)による情報流出や機能妨害、情報の改ざん・窃取、大量のデータの同時送信による機能妨害などだ。

 イラン核施設へのサイバー戦では、アメリカのサイバー軍は、国家安全保障局(NSA)が提供する情報を活用し、イラン軍のネットワーク上の弱点(重要なネットワーク機器など)に侵入し、そこを足掛かりにシステム全体に影響を及ぼしたとされる。

 また、今年の2月末、アメリカやイスラエルがイランへの軍事攻撃に踏み切った時も、イランがほぼ全面的なインターネット遮断状態に陥り、全国の接続率がわずか4%にまで低下した(注1)。

 この原因として、アメリカ軍のサイバー攻撃があったといわれている。

 イラン攻撃はアメリカ軍主導でAIが初めて本格的に使われた戦争として歴史に位置づけられるかもしれない。そしてAIは戦争の「質」や戦い方をこれまでと一変させる可能性がある。