黒い革のバッグ写真はイメージです Photo:PIXTA

エルメスのバッグ「バーキン」の名前の由来となった女優ジェーン・バーキンは、パリで最もおしゃれな女性の一人と称された。彼女は派手に着飾ることや、高級品を新品のまま身につけることを好まなかったという。他人の評価やドレスコードに縛られない「本当のおしゃれ」とは何か。※本稿は、エッセイエストの村上香住子『おしゃれなマナーAtoZ パリで暮らして知ったミューズたちの素顔』(CEメディアハウス)の一部を抜粋・編集したものです。

世界中の女性が憧れる
エルメスのバーキン誕生秘話

 ひとつのものが、大ブームを引き起こすかどうかというのは、やはりタイミングがその時代の流れにリンクしているかどうかに、かかっているのではないでしょうか。

 1980年代は、世界的にみても女性の社会進出が注目された時代でした。どんなに裕福な家庭の主婦だとしても、自宅に引きこもっているよりは、職業をもって外で働きたいという人たちが大半でした。

 世界的高級ブランドの老舗「エルメス」から、ファッションアイコンだったジェーン・バーキン(注1)好みのバッグ「バーキン」が発売されたのは、そうした時代だったのです。

(注1)ロンドン生まれの女優。最初の結婚は『007』などを手掛けた世界的に有名な映画音楽作曲家ジョン・バリーと。長女ケイト・バリーを授かるが、1年にも満たないうちに破局。映画『スローガン』のパリでの撮影のために渡仏し、共演者で異端のミュージシャンとして当時人気絶頂だったセルジュ・ゲンズブールと恋に落ちてパリに住み始める。ふたりの間にシャルロット・ゲンズブールが生まれる。その後、アラン・ドロンと共演した『太陽が知っている』『ナイル殺人事件』『美しき諍い女』など多数の作品に出演。3人目の夫、映画監督のジャック・ドワイヨンとの間に1982年、ルー・ドワイヨンが生まれる。2023年、パリの自宅で他界。