激震!コロナvsプロスポーツ

動画配信ビジネスの成長で、世界的にスポーツコンテンツが争奪戦になっている。DAZNマネーがJリーグの人気復活に貢献したように、スポーツビジネスにとって放映権は貴重な収益源。特集『激震!コロナvsプロスポーツ』(全12回)の#5では、DAZNや通信会社などの主要プレーヤーの思惑や、5G活用によるVRやマルチアングル視聴など最新事情を解説する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

動画配信を巡る仁義なき戦い
DAZNマネーでJリーグ人気が回復

 動画配信企業によるコンテンツ獲得競争が激化している。特に近年、国内外共に争奪戦となっているのがスポーツコンテンツだ。

 Jリーグの放映権がスカパー!から、英国に本社があるスポーツ動画配信大手のDAZNに移ったのは2017年。スカパー!は07年から10年間にわたって苦楽を共にしてきたパートナーだったが、それでもJリーグが配信先を変更したのには理由がある。「10年で2100億円」といわれる巨額の放映権料だ。

 Jリーグの放映権収入は、スカパー!時代の16年は50億円だったが、DAZNに移った17年は178億円に急増。その結果、Jリーグの収支が大幅に改善して、各クラブへの分配金も増加した。

 クラブが金銭的に潤うことにより、海外の人気選手の獲得やファンサービスが充実して試合内容やエンターテインメント性が向上。観客動員が伸びるという好循環を生み出した。

 入場料収入が期待できない中、放映権収入の重要性は増している。今回、Jリーグがコロナ禍でも試合再開を急ぎ、タイトな日程になっても全試合を消化するのは、この放映権料を失いたくないからでもある。

 Jリーグが目指す欧州5大リーグの放映権料は、この数倍から10倍以上(詳しくは8月8日公開の#11「Jリーグ各クラブ『生き残りの鍵』、欧州との比較・収益構造徹底分析で検証」)。今後、Jリーグが国内だけでなくアジアでもファンを獲得できれば、さらなる放映権料アップも期待できるはずだ。

 来年以降は、あの米アマゾン・ドット・コムもスポーツ動画の独自配信に乗り出す可能性が高いという。