学校の授業で学ぶ歴史には、偉人たちの輝かしい功績や「すごい」エピソードが数多く登場します。しかし、どんな人物にもそれだけでは語れない一面があります。歴史をひもとくと、「すごい」人の中にも、思わず目を疑うような「やばい」行動や選択が、数多く記録されているのです。
そんな「すごい」と「やばい」の両面から、日本史の人物のリアルな姿に迫るのが『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』。今回取り上げるのは、息子たちの死と源氏将軍家断絶の黒い噂とともに語られる、「尼将軍」北条政子です。

【歴史好きなら納得】日本史上「最もやばい女性」ワースト1Photo: Adobe Stock

息子を暗殺した疑惑のある女性権力者

 源頼朝と北条政子の息子はふたりとも暗殺されています。

 2代将軍となった長男の源頼家は母の実家の北条氏をうざがり、妻の実家の比企(ひき)氏の言うことを聞くようになりました。そんな頼家が21才のときに病で倒れると、北条氏はそのすきをついて比企一族を皆殺しにしてしまったのです。

 病から目覚めた頼家は怒って立ち上がろうとします。けれど、政子はすかさず頼家にすがりついてつかまえたかと思うと、出家させて寺に幽閉。その翌年、頼家は入浴中に首にひもを巻きつけられ、ふぐり(金玉)をちぎられるというグロい方法で暗殺されてしまいました。

 政子が直接暗殺を命じた記録はありませんが、息子への情よりも政権の安定を選んだのでしょう。

【歴史好きなら納得】日本史上「最もやばい女性」ワースト1イラスト:和田ラヂヲ(『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』より)

 続いて3代将軍になった次男の源実朝はまだ11才でした

 実朝は将軍だというのに京の貴族文化が大好きで、藤原定家から和歌の通信教育を受け、後鳥羽上皇の親戚を妻にして貴族っぽく暮らしていました。

 しかし27才のとき、なんと長男・頼家の息子・公暁(くぎょう)に突然襲われ、殺されてしまいます

 こうして源氏の血はたった3代で途絶えました。

 実朝の暗殺にもさまざまな黒い噂が出ましたが、公暁もすぐに殺され真相は闇の中……

 その後、幕府は100年以上も北条氏が実権をにぎりつづけました。

(本原稿は『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』からの抜粋です)