学校の授業で学ぶ歴史には、偉人たちの輝かしい功績や「すごい」エピソードが数多く登場します。しかし、どんな人物にもそれだけでは語れない一面があります。歴史をひもとくと、「すごい」人の中にも、思わず目を疑うような「やばい」行動や選択が、数多く記録されているのです。
そんな「すごい」と「やばい」の両面から、日本史の人物のリアルな姿に迫るのが『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』。今回取り上げるのは、『源氏物語』に憧れて、自らも『更級日記』などの日記文学を残した菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)です。
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オタクを極めすぎて老後に後悔する
大好きな物語の世界にひたっているうちに、独身のまま仕事もせず、30才を過ぎてしまった菅原孝標女。
「家に引きこもってばかりでは……」と心配した知人のすすめで、天皇の娘のもとで働く「宮仕え」をすることになりました。
しかし初出勤の日、緊張でガチガチになり、「親のかげに隠れて家で物語ばかり読んで、友達や親戚づきあいもしなかったわたしは身の置き所もなく」……と、翌朝即、家にリターン。
それでも何とか職場に馴染もうとはしたものの、心配した親にあっさり結婚させられてしまいます。
この結婚は彼女にとって「期待はずれ」だったらしく、出産後はパワースポットにハマってお寺をめぐる日々……。
しかし50才のときに夫が突然死すると、「役にも立たない物語じゃなく、若いときから神仏を推してればもっと良い人生だったのに……!」とオタク生活を後悔しはじめます(編集部注:菅原孝標女はかつて『源氏物語』などの物語にどっぷりはまっていた。『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』参照)。
たんに「推し」が物語から神仏に変わっただけのような気もしますが、「宮仕えをもっと頑張っていたら、わたしの人生なんとかできたのかな……」と落ちこむ日記も書いており、仕事にも家庭にも中途半端だった自分を反省しながら余生を送りました。
イラスト:和田ラヂヲ(『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』より)
(本原稿は『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』からの抜粋です)









