勉強は「どんどん間違えたほうがいいよ」

 子どもたちが自主的にやっている間、大人たちが何もしていないわけではありません。

 自由進度学習をしている子どもたちの間を、蓑手さんとサポートスタッフが動きまわりながら声をかけていきます。サポートスタッフは蓑手さんのサポートではなく、蓑手さんと同じく子どもたちのサポートをしていきます。答えを教えるのではなく、どこでつまずいているのかを見定めて、子どもたちが学習を進めていくためのヒントを与えることで、ちょっとだけ背中を押してあげているのです。答えを教えてしまうことより、ずっと難しいことでもあります。

 計算問題を解いている子どもたちに「割り算と引き算の繰り返しだよ」とか、「どんどん間違えたほうがいいよ」などと、個別の子どもに向かってアドバイスしている蓑手さんの声が聞こえてきます。「間違っていたら、どこで間違えたのか確認しようね」という声も続きます。

 正解か不正解かではなく、その過程を重視することで、学びはホンモノになります。自由進度学習では、そこを重視します。だから、どんどん間違えて、そのたびに何が違っていたのか確認する。それを繰り返すことでホンモノの学びになっていくわけです。

 漢字練習をしていた子が、ノートの「ふりかえり」の欄に「○と○の漢字を忘れていた」と記入していました。従来どおりの授業スタイルをしている学校であれば、「忘れないように同じ漢字を10回書いて」といった教員の指導があるかもしれませんが、蓑手さんは「忘れたほうがいいよ。覚えて忘れて、もういっかい覚えたほうが脳に定着するからね」と声がけしていました。おかしなプレッシャーを感じさせない声がけです。テストの点数につながるノウハウではなく、ほんとうに身につく学び方をしているのです。

 そういう学び方なら、学ぶこと自体が楽しいはずです。楽しく学べる場であれば、学校も楽しいはずなのです。