「試験はしない」「生きぬける子を育てる」異色の学校が追求する、本当に“多様な学び”とは?息子さんをふくめた子どもたちがサバイブできる、「生きる力を養える学校」ができあがった(写真はイメージです) Photo:PIXTA

不登校とされた小中学生はいまや過去最多の30万人を超え、その受け皿としてフリースクールやオルタナティブスクールなどが広がりつつあること、またそうしたスクールが“既成の学校”とは何が違うのかを、前回は取り上げました。本稿では、前屋毅さん著『学校が合わない子どもたち』(青春出版社)から、湘南ホクレア学園というオルタナティブスクールの取り組みや理念を通して、日本の教育の多様化の必要性をご紹介します。

古民家が校舎、海と砂浜がアウトドアの教室

 江の島は神奈川県の湘南海岸に浮かぶ島で、音楽の神とされる弁財天を祀った江の島神社で知られ、有数の観光スポットです。その江の島の近くにあるのが、“学校(一条校)が合わない子どもたち”が通っている湘南ホクレア学園(以下、ホクレア)です。

「江ノ電」の略称で知られる江ノ島電鉄が走る線路脇の小道沿いにある古民家が校舎で、窓からは通り過ぎる江ノ電が間近に見えます。そして、江の島を望む海と砂浜がアウトドアの教室であり、遊び場でもあります。

 その古民家で行われていた低学年のサークルタイム(朝の会)に参加させてもらいました。小学高学年の子と中等部は、隣の別の古民家を使っています。

 サークルタイムは英語を母国語とする外国人(ネイティブ)のキャプテン(教員をふくめたスタッフはそう呼ばれます)を中心に、畳の部屋に20人弱の子どもたち(ホクレアクルーと呼びますが、この本では子どもたちとします)が車座(まさにサークル)になっての会です。参加させてもらったといっても、会話は基本的に英語なので、見学させてもらったといったほうが正しいのですが……。