京都の人気鍼灸師で、SNSでも人気の「すきさん」(本名:鋤柄誉啓 すきから・たかあき)が書いた『メンタル養生』が発売中だ。本書には「疲れていても気楽に読める」「現代人必携のセルフケアバイブルだと思う」など、多くの口コミが寄せられている。
本記事では、すきさんが多くの人を診療して得られた知見と、東洋医学の知恵をベースに、心がラクになるヒントを教えてもらった。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・宮崎桃子)

せいろで蒸した料理、土鍋で炊いた米。それは本当に「丁寧な暮らし」なのかPhoto: Adobe Stock

悩み:SNSで流れてくる「丁寧な暮らし」に憧れます。
でもなかなかできなくて、そんな自分に落ち込みます。

 SNSで流れてくる「丁寧な暮らし」。ありますよね。
自家製の味噌、今年も美味しくできました!」とか、
朝のヨガが日課です」とか、
「今日はせいろを使ってお野菜のおかずです」とか。

 そんな暮らしを見て「憧れるけど、自分はできていない……」と自己否定する人、多いと思います。

それ、本当に丁寧な暮らしですか?

 僕が声を大にして言いたいのは、その生活は「丁寧な暮らし」ではなく、「背伸びをした暮らし」になっていませんか? ということです。

 無理して味噌を仕込むとか、疲れているのにヨガを毎日やるのは、それはもはや「特別なイベント」であり、本来の丁寧さではありません。

 本当の丁寧な暮らしというのは、「普段通りやっていることに気を巡らせて、ゆっくりやること」なんです。
 たとえばいつもより朝ごはんをゆっくり食べる
 いつもよりゆっくりスキンケアをする
 いつもよりゆっくり歩く
 それだけで十分「丁寧な暮らし」なんですよ。

 土鍋で炊いたご飯を食べるのは、いわゆる丁寧な暮らしかもしれないけど、それをスマホ見ながら口に放り込んでいたらどうでしょう? 丁寧な暮らしではないと思いませんか?

『メンタル養生』でも「丁寧をやめる」という項目をご紹介しています。

「ていねい」をやめるのではなく、“負担になるていねい”をやめるということです。

 洗濯物を今日は取り込むだけにしてたたまない
 食器は夜ではなく朝に洗えばいい
 夕食も品数ではなく、温かい1品を用意できたら合格
 こうした小さな省略は、怠けではなく配分の知恵です。

(中略)

 ていねいに生きることと、全部をていねいにすることは同じではありません。
 まず自分を先に整える
 それが、何よりもていねいで自分を大事にする生き方です。

『メンタル養生』P226

自分を取り戻すための「心地よい自己満足」

 自分を大事にする生き方は本当に大切です。
 自己満足って、最高の栄養だと思うんです。

 僕は最近、貝印の包丁研ぎを買って、これが大正解。野菜がスパスパ切れて気持ちいいんです。
 あと無印のパジャマ。着心地が最高だから、着るとすごく満足感がある。
 でも他の人も同じように感じるかどうかは別、ですよね。

 京都に住む僕にとって、近くの鴨川を散歩するのは「日常」です。でも誰かにとってそれは「特別」なことになりますよね。
 人によって普通のこと、特別なことは変わるんです。

 そして些細な「自己満足」こそが、メンタルを支える栄養になります。
 誰かに見せるためのものではなく、自分が「あぁ、いいな」と思える瞬間を生活の中に増やすこと。
 自分に自信がない時ほど、他人軸の幸せではなく、自分だけの小さな「養分」を大切に育んでみてください。
『メンタル養生』ではそのヒントをたくさん紹介しています。

(本記事は、すきさん著『メンタル養生』の著者インタビューです。)