向いているかどうかは
やってみないと分からないことも
もっとも、向上することと、管理職になることは同じではありません。管理職として人を率いる道もあれば、専門職として力を磨く道もあります。営業のスペシャリストになる人もいれば、技術者として現場を極める人もいる。2002年にノーベル化学賞を受賞された島津製作所の田中耕一さんは、研究の現場に立ち続ける道を選ばれました。
問われるべきは、「管理職か、専門職か」という肩書きではありません。自分の強みをどこで生かすのか、ということです。管理職に向く人もいれば、専門職に向く人もいます。自分の強みを生かすことが大原則です。
管理職になりませんか、と声をかけられたときは、本人にとって自分の生き方を考える良い機会です。自分は人を育て、組織を動かすことに向いているのか。それとも、専門性を深める方が力を発揮できるのか。考えるきっかけになります。
そして、向いているかどうかは、やってみなければ分からない側面もあります。管理職に向いていないと思っていた人が、実際にやってみると部下を育てる喜びに気づくこともあります。その逆も然りです。最初から選択肢を狭めすぎないことが大切です。
管理職を無理に押しつける必要はありません。ただ、責任が重い、大変そうだという印象だけで避けている部下には、管理職が人を育て、組織を動かし、自分の可能性を広げる経験にもなることを伝えることが大切です。
その点に関して、上司のアドバイスが有効な場合も少なくありません。ただし、上司の都合だけで話すことは、人間として正しいこととはいえません。
リーダーに求められるのは、管理職という役割の意味を伝え、部下が食わず嫌いで判断するのではなく、自分の強みや適性に目を向けられるよう支えることです。







