白黒のパッケージにこめられた創業者の祈り
当時は、複数の台風が例年とは異なるコースをたどり、甚大な風雨や水害をもたらした。農作物は壊滅的な打撃を受け、お菓子の製造ラインは停止に追い込まれた。主原料が枯渇し、愛用してくれる消費者に商品を届けられない痛恨の極みは、企業に深い傷跡を残した。
災害発生時に避難所へ救援物資を送り続けてきた歴史を持つ企業にとって、商品を届けられない事態は最大の悲劇であった。
中身のじゃがいもは確保できているのに、外袋の印刷ができないという理由で、再び休売を招くわけにはいかない。強い供給責任への意志は、痛みを教訓とした結果でもある。
現代の江原信CEO体制下においても、抗えない巨大な壁に対し、自社でコントロール可能な変数を洗い出し、外観を削ぎ落としてダメージを吸収する道を選んだ。外装の色を失って店頭に並ぶポテトチップスは、平時の価値観からは異質に見えるかもしれない。
だが、本質は全く逆である。白黒のパッケージは、社名「カルビー」に込められた、見栄えよりも中身を届けるという創業者の祈りが現代に蘇った純粋な姿なのである。
時代が変わり、経営陣が交代しても、脈々と受け継がれてきた企業DNAは、危機に直面した際に色濃く表れる。表面的な美しさにとらわれず、食料品メーカーとしての社会的な責任を全うする姿勢は、多くの人々の心に深く響くはずである。








