石油ショック、米経済に7兆円超の打撃 経済格差拡大Photo:Kevin Carter/gettyimages

 史上最大規模の石油ショックが米国内の経済格差を広げている。

 ダウ・ジョーンズ傘下のデータ会社、石油価格情報サービス(OPIS)の価格データと連邦政府の需要統計を分析したところ、イラン戦争期間中に米国民がガソリンおよびディーゼル燃料に支出した金額は、1年前の同時期よりも累計で約450億ドル(約7兆1500億円)多かった。低・中所得者層の収入に占める割合が大きくなり、高所得者層と比べて見通しが暗くなっている。

 一方、石油・ガス会社への投資家はポートフォリオが拡大するのを目の当たりにしている。エネルギー関連の好調なリターンは、企業決算を後押している。また、人工知能(AI)主導で最高値をつける株式市場に弾みをつけている。インフレ高進と借り入れコストの上昇で低所得者層が圧迫される一方、多くのエコノミストは高所得者層が引き続き米経済をけん引するとみている。

 ドナルド・トランプ大統領は選挙で 国内のエネルギーコストを半減させる と訴えていた。だが、価格高騰が支持率低下につながり、消費者信頼感指数が記録的な低水準に近づく一因となる中、同氏は、石油ショックが記録的な輸出という形でエネルギー資源の豊富な米国に恩恵をもたらしていると主張している。

 マサチューセッツ大学アマースト校のイザベラ・ウェーバー教授(経済学)は、「もちろん問題は、『米国』とは誰のことか、という点だ」と指摘。「米国内のさまざまな所得者層を見ると、この恩恵を受けているのは本当に最富裕層だ。大多数の人々はほとんど恩恵を受けておらず、実際にははるかに大きなコストを負担している」と述べている。

 ウェーバー氏は石油ショックを富の再分配に例えた。ロシアのウクライナ侵攻の余波に関する同氏の研究によると、2022年に米エネルギー企業が得た莫大(ばくだい)な利益の約50%が、米国人の上位1%の富裕層に流れた。