アマゾン、AI「周回遅れ」から有力プレーヤーへPhoto:Noah Berger/gettyimages

【シアトル】つい最近まで アマゾン・ドット・コム は人工知能(AI)開発競争の「周回遅れ」と見なされていた。

 競争相手の中でも特に マイクロソフト は、オープンAIとの提携や、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を上回るペースのクラウド事業によって、支配的な巨大ハイテク企業の地位を取り戻したかのように見えた。

 しかし今ではAWSの状況は 様変わり しているように見える。

 その要因には、アマゾン自身が結んだオープンAIやアンソロピックとの抜け目のない契約や、2000億ドル(約31兆7000億円)のインフラ投資計画、そしてカスタム半導体への長期にわたる賭けがある。また、AI関連業界の最も有名な人々――イーロン・マスク氏やサム・アルトマン氏からオープンAIの元最高技術責任者(CTO)ミラ・ムラティ氏、マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)に至るまで――が巻き込まれている今年最も醜いテクノロジー訴訟にも、アマゾンは関与していない。

「人々はわれわれが後れを取っていると思っていた」。アマゾンのクラウドコンピューティング事業AWSの責任者マット・ガーマン氏は、同社の本社で筆者が行ったインタビューでこう語った。「われわれが前進するにつれて、彼らはわれわれの戦略が進化し始めるのを目の当たりにし、その戦略には多大な利点があると他の人々が理解していることに気付き始めた」

 AIを巡る話題にアマゾンが上るようになったことでAI技術を取り巻く過熱感が和らぐ可能性が高まっている。AWSは、次の「スカイネット」(映画「ターミネーター」シリーズに登場するAIコンピューター)実現の可能性に熱狂する投資家ではなく、実際の企業への販売に取り組んでいるからだ。

 他の業界関係者とは違い、ガーマン氏は既に慎重姿勢を取っており、ロボットがもたらす世界の終末や大恐慌レベルの雇用喪失を予想する風潮に飛び付くことはしていない。

「誰もが自分の意見を持つ権利があるが、それが正しいとは全く思わない」とガーマン氏は語った。「膨大な価値を生み出す可能性があると思う。異なる種類の新たな雇用が生まれると思う。人々は適応し、異なるスキルを習得し、それを取り入れることが必要になるだろう」