家もクルマも
高級腕時計も要らない

「捨てる」ことについての話を進める前に。

 僕は捨てる以前に、モノをできるだけ「持たない」ライフスタイルを選んできました。

 家は台湾に一応ありますが、賃貸暮らし。

 家具もごく限られた最小限のものだけで、日本で仕事をするときには、ホテルなどに滞在しています。

 クルマもなし。高価な腕時計にも興味はなく、仕事の打ち合わせを時間内で終えるための液晶時計が1つあれば十分です。

 日用品も決して高級品ではありません。

 服は通りすがりのアジア各地でパパッと、いつでも捨てられるくらいの気軽なものを。

 食べ物はコンビニの新商品を選ぶのが一番楽しい。

 ご馳走は会食でいただくだけで満足。

「経営者としての収入を、家財に費やせばそれなりのものが手に入るでしょうに」

 と不思議がる人も多いのですが、僕はまったくモノに執着がありません。

 持たなければ、生活がモノで埋め尽くされないし、土地や家を売買する上での煩雑な手続きもしなくていい。

 何よりも災害での心配が1つ減る。

 何より身軽な生き方が好きなのです。

ものを捨てれば
自由になれる

 家を買う、家を建てる。

 住まいを所有することは、いまだに多くの若者の目標になっているようです。

 僕はまったくそうしたいと思わない。

 現に、賃貸やホテル住まいに不便を感じたことはありません。

 なぜ家を買うのか。

「ここにいつでも戻って暮らすことができる」という安心感を得られるからでしょうか。

 でも、それは逆に言えば「ここにいつまでも縛られる」ということ。

 実際、台風や水害が迫る中、すぐにでも逃げ出すべきなのに「家が心配で残りたい」という人は毎度いるじゃないですか。

 家のために命を捨てるなんて本末転倒。

 かえって、生きることを不自由にしていないだろうか?と疑問です。

 阪神・淡路大震災の時、新築一戸建てを建てたばかりだった友人が嘆いていました。

 一夜にして家を失った人たちを、僕は数多く知っています。

 ものを所有することは安定を生まない。むしろ不安が増えるだけ。「いつでも移れる。どこでもすぐに新しい生活を始められる」。

 人生の選択肢を広げてくれる、そんな軽やかさを持ちたいと僕は思います。