この資金を、どのように調達したか。実はアスクルは、2000年に上場するまで、外部からの資金調達をしませんでした。自分たちで資金を生み出す仕組みをつくったのです。それが、「サイト勝ち」をする仕組みです。

 エージェントさんからの回収サイト(売掛金の発生から現金が入金されるまでの期間)を短くする一方で、メーカーさんへの支払いサイト(買掛金の発生から現金を支払うまでの期間)はこれまで通りに設定することで、手元に資金が残る期間を長くし、キャッシュフローを確保したのです。

 ITの進化などにより、昨今は決済方法も多様化していますが、当時はエージェントさんからの回収サイトを30日以内にしていました。お客様からの代金のお支払い期日は、エージェントさんからアスクルへの代金のお支払い期日より前に設定していましたので、お客様からエージェントさんに代金が支払われた後、エージェントさんは速やかにアスクルへの支払いを行う、という条件です。

 一方、その当時、メーカーさんに対する支払いサイトは、業界ごとに慣習が異なりましたが、120日が主流になっていました。こうすれば、メーカーさんに支払わなければならない資金を90日間は手元に置いておけることになります。運転資金に余裕が生まれるので、その分を設備投資にあてることができます。

手元にキャッシュがあるのは
経営の強みになる

「回収サイトを短く設定した」というと、エージェントさんに無理をさせていると感じるかもしれませんが、そういうわけではありません。

 たとえば当時のプラスの回収サイトは90日が主流になっていましたが、それは、小売店さんがプラスから商品を仕入れ、在庫として保有し、お客様に販売して、代金を回収して現金化するまでに、時間がかかるからです。小売店さんが在庫リスクを負っている分、長く設定していたのです。

 しかしアスクルの場合は、アスクルが在庫を抱えてお客様に直接商品をお送りするので、エージェントさんには在庫リスクがありません。