ニュースな本写真はイメージです Photo:PIXTA

人材育成への取り組みは、各企業の今後の成長を占うバロメーターになる。にもかかわらず、日本企業の“研修”の多くはお粗末な内容が多いという。日本企業の競争力にも影響を及ぼす社員研修の実態についてビジネスコーチの内田和俊氏が解説。※本稿は、内田和俊『実践! 新社会人のキホン』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

日本企業は人材育成に
時間とお金をかけている?

 皆さんは、人材育成に関して日米の企業を比較したとき、こんなふうに考えていませんか。

 アメリカは自己責任の社会なので、企業もドライでシビア。無慈悲にリストラを敢行するなど、労働力は使い捨て。だから、教育も社員1人1人の自主性に任せるなど、その部分にお金を使わない。

 一方、日本企業は、就活時にも福利厚生と教育制度の充実をアピールするし、最近では「人的資本経営」がトレンドワードになっていることもあり、従業員1人1人を大切にしている。だから、教育にも惜しみなくお金を使ってくれている。

 実はこれ、誤った思い込みなんです。

 とてもショッキングなデータがあります。

 企業が研修など社員の能力開発にどれだけ投資したかを国別(アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、日本)で比較したデータがあります。

 日本の企業が従業員の教育にかける金額は、これら6カ国の中で突出して少なく、何とアメリカの20分の1以下なのです。

 しかも、1990年代の半ばから、人材にかける金額は年々減少し続けていて、15年で何と4分の1にまで削減されています(次ページ図)。