夫婦に営業するビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

「持ち家と賃貸のどちらがいいか」という議論は長年続いている。筆者は、両者を同条件で比較すれば答えは明らかだという。住宅ローン、税制優遇、資産形成、そして家賃高騰――。数字をもとに検証すると、多くの人が見落としている現実が浮かび上がる。※本稿は、不動産コンサルタントの沖 有人『新版 マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

「持ち家・賃貸論争」には
すでに答えが出ている

 持家購入と賃貸のどちらがいいかという論争は既に決着がついている。

 住宅ローンと家賃との比較は一生を通じて同じ家に住むとして、その支払い期間で生涯支出が決まる。住宅ローンは35年で終わるが、社会に出てから亡くなるまでは60年以上になるので、家賃の方が60年÷35年=1.7倍のコストがかかる。

 また、持家と家賃収入を得るための投資用物件では借り入れるローンの金利が2%近く違う。この金利差だけで35年ローンで4割ほど支払い総額が増える。

 それに加え、持家購入に対する優遇税制で物件価格の1割以上の税額差になる。住宅ローンの元本返済に税金がかからないのに、家賃収入に税金がかかるためにその手取り収入は3割ほど減額されることになる。これらの合計もさきほど同様に、持家と賃貸で1.7倍の支払い額の差になる。

 この結果として、日本全国の持家率は85歳で85%を超え、都区部でさえ75%を超えている(2020年国勢調査)。戦後、国が一貫して持家取得促進政策をとり誰もが家を持てるようにしたのだ。