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認知症者の「徘徊」は、家族や介護者を悩ませる問題行動として語られることが少なくない。しかし、本人の気持ちや意思を尊重する視点から見ると、その行動は心の訴えや支援の糸口とも捉えられる。※本稿は、帝京大学文学部心理学科教授の元永拓郎『歩くと心が軽くなるのはなぜか――散歩の心理学』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
認知症の人の「徘徊」を
私たちは誤解していないか
高齢期は、個人差は大きいものの認知機能の変化と向き合うこともある年代です。
認知症は、さまざまな要因によって生じますが、脳のさまざまな働きに関わるため、多彩な症状が現れます。記憶力の低下は有名ですが、集中力が低下したり、疲れやすくなったり、やる気が落ちたり、同じことを繰り返したくなったり……。
それまで、自分のことは自分で責任をもって行ってきた大人が、周りの人を戸惑わせたり、世話をかけるようなことをしてしまうので、周囲の人たち、特に家族にとって、びっくりしたり、大きなショックを受けたりすることもあるでしょう。
特に、認知症の人たちの「症状」の中で、認知能力の変化以外の、行動面や心理的な症状とされているものを、医学的には、BPSD(認知症の行動・心理症状)と言ったりもします。
興奮や物盗られ妄想、幻視などですが、その中に、「徘徊」というものもあります。「徘徊」は、認知症の人が、うろうろ歩き回り、遠くにまであてもなく歩き、行方不明になって、家族や関係者が探し回って大変なことになる、というイメージがありますね。







