あなたは、「仕事ができるようになりたい」と思ったことがありますか?
でも、「仕事ができる」とはいったい何を指すのでしょう。プレゼンがうまいこと? 英語がペラペラなこと? AIを駆使すること? ……残念ながら、これらはすべて「仕事ができる人」の条件ではありません。では、何をすれば「仕事ができる人」になれるのでしょうか? 3万人を分析して「できる人側」になる絶対ルールをまとめた書籍『仕事ができる人の頭のなか』(ダイヤモンド社刊)著者の木暮太一氏に伺いました。

仕事ができる人が「報連相」で使っているすごい一言・ベスト1Photo: Adobe Stock

ちゃんとやっているのに認められない

「ちゃんとやっているのに、伝わらない」問題ってありますよね。一生懸命仕事しているのに、周りにはそれが伝わっていない。頑張れば頑張るほど「都合がいい人」になってしまい、どんどん損な役回りをさせられてしまう。

 仕事ができる人になりたいと思いつつ、他人から無下に使われる人材になってしまいそうで怖い、と感じる方もいると思います。

「他の先輩を見習って、もっと仕事しろ」

 これは、かつてぼく自身が上司から言われた言葉です。当時のぼくは毎日必死でした。朝早く出社し、資料を作り、勉強し、言われた仕事はすべてこなしていました。なのに、評価面談で返ってきたのはこのセリフでした。

 正直、ショックでした。やっていないならまだわかります。でも、やっているのに相手には見えてないのはかなりきついです。

 ぼくはこれまで累計3万人以上のビジネスパーソンに接してきましたが、同じ悩みを抱えている人は驚くほど多いんです。そして気づいたのは、「仕事ができる人」と「頑張っているのに評価されない人」の差は、能力の差ではなく「仕事の見せ方」の差であることが大半だということでした。ぼくが書いた『仕事ができる人の頭のなか』に書いた「仕事とは?」の大前提と合わせて読んでいただけると、より腑に落ちると思います。

「見せ方」とは、自己アピールではない

「仕事の見せ方」というと、多くの人は自己PRやアピール術のようなものを想像します。会議で目立つ発言をするとか、成果を大きく見せるとか、そういうテクニックだと思われがちです。でもそうではありません。

 ぼくが言う「見せ方」とは、「相手の頭のなかの負荷を減らす形でアウトプットする」ことです。

 仕事とは、最終的には「誰かに貢献すること」です。そこに異論を唱える人はいないと思います。しかし、その「貢献」が見えないんです。自分としては、組織に貢献しているつもりでも、まわり(特に上司)からそれが見えなければ「何もしていない人」になります。

 ぼくが新著『仕事ができる人の頭のなか』に書いたのは、「仕事とは、誰かの負荷を減らすことである」という定義です。ぼくらの貢献とは、相手の負荷を下げることだと思うんです。相手が「あなたのおかげで自分の負荷が減った(助かった)」と感じれば、あなたは相手に貢献したことになるし、またその貢献を実感してもらえます。

 でも一方で、相手が必要としていない資料を作って見せても「貢献した」とは思われません。それは、相手の負荷が減っていないからです。

 その資料は、いずれ必要になるものかもしれません。でもそれを相手が実感していなければ、「(いまは)不要なもの」だし、あなたが資料作りにかけた時間は「無駄」とみなされてしまうのです。

 上司の代わりに考え、クライアントの代わりに整理し、チームの代わりに動く。また、わかりづらかった内容を簡潔にまとめ直し理解しやすくする、メールを読みやすくするなども相手の負荷を減らすことになります。

 仕事の「見せ方」とは、自分がどれだけ頑張ったかを伝えることではなく、相手が抱えている負荷を「これだけ減らしましたよ」と伝わる形で届けることに他なりません。

 できる人は、これを自然にやっています。逆に、評価されない人は、どれだけ良い仕事をしていても、この「届け方」が決定的に足りていないのです。

報連相はこの一言で「上司の負荷を減らす」

 仕事の見せ方で最も基本的なのは、報連相です。ただし、ここで言う報連相は、新人研修で教わるような「こまめに報告しましょう」という話ではありません。報連相の本当の目的は、相手の脳内ストレスを減らすことです。

 上司の立場で考えてみてください。部下に仕事を任せたとき、何が一番しんどいかというと、「いま、あの仕事がどうなっているのかわからない」という状態です。進んでいるのか、止まっているのか、本当に任せておいて大丈夫か。問題が起きているのか、順調なのか。これがわからないと、上司は頭のどこかでずっとその案件を気にし続けなければなりません。それが「負荷」です。

 仕事ができる人の報連相は、この負荷を的確に消してくれます。「いまここまで進んでいます。次はこれをやります。懸念点はこれです」――たった3行でも、上司の脳内ストレスはかなり減っていきます。

 一方、評価されない人ほど報連相を「聞かれたら答えるもの」だと思っています。上司に「あの件どうなった?」と聞かれてから答えるのでは遅いんです。上司がわざわざ聞いてきた時点で、すでに負荷を与えてしまっています。聞かれる前に伝える。それが、仕事の見せ方の第一歩です。

「言語化」が見せ方の9割を決める

 次に重要なのが「言語化」です。ぼくの実感では、仕事の見せ方の問題の9割は、言語化の不足に起因しています。

 たとえば、あなたがクライアント向けの資料を作ったとします。自分としては丁寧に仕上げた自信作です。ところが上司に提出すると、「うーん、なんか違うんだよな」と言われる。

 こういうとき、多くの人は「自分のスキルが足りなかったんだ」と考えます。でも実際のところ、問題は資料のクオリティではなく、その資料が「何のために」「誰に向けて」「何を判断してもらうために」作られたのかが、上司に伝わっていないことが大半なんです。

 仕事ができる人は、成果物を出すときに必ず「これは○○のために作りました」「ゴールは○○で、この資料を見れば△△が判断できるようにしています」と、ひと言添えます。つまり、成果物そのものではなく、成果物の「意図」を言語化して一緒に届けているんです。

 これだけで上司の反応はまったく変わります。なぜなら、上司が一番負荷を感じるのは「この資料をどう読み解けばいいか、自分で考えなければいけない」瞬間だからです。意図が言語化されていれば、その負荷がなくなる。結果として「このメンバー、わかってるな」という評価につながります。

 仕事に限りませんが、相手に伝わらなければ意味がありません。いくら「頑張っている」と主張しても、その頑張りが相手に実感として伝わらなければ「やっていない」のと同じなんです。

 仕事は相手に貢献することです。相手の負荷を下げることです。あなたが必要だと思うことをやるのもすごく大事ですが、それより前に「相手がやってほしいと思っていること」を実行することがより重要です。

(本記事は、『仕事ができる人の頭のなか』に関連した書き下ろし記事です)