政府は7~9月期を念頭に電気・ガス料金の補助の再開を検討していると報じられている政府は7~9月期を念頭に電気・ガス料金の補助の再開を検討していると報じられている Photo:SANKEI

3月の実質賃金、3カ月連続プラス
最大の原因は消費者物価指数上昇率の低下

 5月8日に公表された3月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、1人当たりの実質賃金は、前年同月比で1.0%増となった(対象は従業員5人以上の事業所)。

 実質賃金がプラスとなるのは3カ月連続であり、3カ月以上プラスが続くのは、2021年2月から8月までの7カ月連続以来のことだ。

 名目賃金に当たる現金給与総額は31万7254円で、前年同月比2.7%増だった。春闘の高賃上げが続き、名目賃金の増加は51カ月連続だ。

 実質賃金が3カ月連続でプラスの伸びになったことは、一見したところ家計にとっては朗報だ。

 しかし、その中身を見れば評価できない。なぜなら、今回の実質賃金伸びプラスは、単純に「賃金上昇の成果」ではないからだ。

 実質賃金の改善は、ガソリンなどへの政府支援によって、消費者物価指数が押し下げられた結果でもある。つまり、財政負担によって実質賃金の伸び率プラスが支えられているのだ。

 ホルムズ海峡の事実上の封鎖によって、原油価格には強い上昇圧力がかかっているにもかかわらず、消費者物価指数上のガソリン価格上昇率が抑えられているのは、政府が補助金によって、価格を人為的に引き下げているからだ。

 この政策は短期的には家計などの負担軽減策として必要かもしれない。だが、物価高の痛みを家計から財政に移しているにすぎない。

 さらに価格が抑えられることによって、エネルギー消費を減らすインセンティブが弱まり、日本は、国際的な省エネ要請に逆行することになっている。

 5月18日、高市首相は7~9月期に電気・ガス代への補助を再開する意向を表明し、財政負担はさらに増大する。