「どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか」――。この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、同書に収録されている75の事例の中から、特に現場で導入しやすく、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選して紹介していきます

なぜ、カーディーラーは洗車サービスを行っているのか?Photo: Adobe Stock

「ただの洗車」が、
また来店したくなるきっかけになる

 車検や点検、オイル交換などでディーラーに行ったとき、「最後に洗車しておきますね」と、無料または格安で提供される洗車サービス。ほんの10~15分程度でピカピカになった車を見て、「やっぱりディーラーは気が利くな」と満足して帰る人も多いのではないでしょうか。

 このついでのように見える洗車、実はお客様との関係を深め、次回の来店につなげるための非常に重要な販促戦略なのです。

「売ったあとこそが勝負」な業界事情

 車は高額な商品であり、購入の頻度は数年に一度です。つまり「売って終わり」では、次の売上まで長期間空いてしまいます。

 だからこそディーラーにとっては、納車後もいかに定期的にお客様との接点を持ち、信頼関係を維持できるかが極めて重要です。洗車サービスはそのための有効な口実です。

 ・洗車目当てでもいいからお店に来てもらう
 ・点検のついでに来店してもらう
 ・来てもらえれば、ついでに最新モデルの話や保険の提案ができる

 つまり、洗車は売上のためではなく、「お客様との接点を持ち続ける」ための「お店に来てもらう口実」として設計されているのです。

お客様に「満足の余韻」を残す演出

 洗車を受けたお客様は、ピカピカになった車を見て強い満足感を得ます。「ここまで丁寧にやってくれるなら、次もお願いしよう」と感じます。

 この「小さな親切」は、「返報性の原理」を誘発する強力な仕掛けです。

 お客様は、「無料で、手間のかかるサービス(洗車)という予期せぬ贈り物を受けたことで、「この好意にお返しをしたい」という心理的な義務感を無意識に抱きます。

 この義務感が、次の点検や車検もこのディーラーに依頼するというリピート行動につながり、サービスへの高い評価として機能するのです。

「高級感」と「安心感」を演出するイメージ戦略

 また、洗車サービスは単なる機能提供ではなく、ディーラーのブランドイメージづくりにも役立っています。

 ・丁寧に洗ってくれる→メンテナンスも信頼できそう(ハロー効果)
 ・ピカピカの仕上がり→品質の高さを感じる
 ・無料または格安→顧客思いの姿勢に映る

 これは、「接触の機会」の増加と、「ハロー効果」によるブランド評価の底上げです。

 ここでいう「接触の機会」とは、洗車によってお客様の来店頻度(接触の機会)が増えるほど、そのディーラーに対して無意識的に好意を持つ傾向が高まることをいいます。

 また「ハロー効果」とは「洗車が丁寧で仕上がりが美しい」というポジティブな一面が、「整備や修理の技術力」という他の評価までポジティブに引き上げる効果を生み出すというものです。

他のお店でも応用可能な
「無料サービスで関係を深める」仕掛け

 この「ついでの無料サービスで信頼を得る」戦略は、他のお店でも応用可能です。

 大切なのは、「お金をもらうためのサービス」ではなく、「お客様との関係をつなぐためのサービス」を提供するという視点です。

 ・美容室:前髪カット無料
 ・整体院:無料姿勢チェック
 ・メガネ店:メガネの調整・クリーニング無料

まとめ

 カーディーラーが洗車サービスを行っているのは、

 ・「返報性の原理」により、無料の満足体験で信頼関係を強化する
 ・「接触の機会」を増やし、車を買った後もお店に来る理由を作る
 ・「ハロー効果」により、サービス全体の評価を高める

 という、単なる「おまけ」ではなく、リピートを仕組みに組み込む販促戦略なのです。

 あなたのビジネスでも、「ついで」の小さなサービスが、大きな信頼と売上につながる仕掛けになるかもしれません。

(本稿は『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』の一部を抜粋・編集したものです)

岡本達彦(おかもと・たつひこ)
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
アンケートやマンダラ等を活用して、誰でも売れる広告を作れる手法を体系化する。
業界を問わず即効性が高く、お金をかけずに売上を上げられることから、全国の商工会議所・経済団体などからセミナー依頼が殺到する。
初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
『あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル』
『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。