「“言語化”疲れで、“言語化”という言葉にモヤモヤする」
「即答するよりじっくり考えるほうが大事なのでは?」
「別に“口下手”のままでもいいじゃないか!」…

など、まったく新しいコミュ力を説いた書籍『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』が発売された。著者でイラストレーターのヤギワタル氏は、これまで200冊以上の書籍でイラストや装画を担当してきて、今回が初の単著となる。本書では、昨今の「言語化ブーム」に対して警鐘を鳴らし、「言語化“以外”に目を向けること」をイラストレーターならではの視点で面白く解説している。本記事では、その中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

会話がめちゃくちゃうまい人がやっている「最高の質問」ベスト1

会話がめちゃくちゃうまい人

「ちゃんと準備しておいて」
「もっと普通にやってよ」
「いい感じでお願いします」

 仕事でも日常でも、こういう「曖昧な言葉」は大量に使われています。

 そして、多くのすれ違いは、ここから始まる。

言語化だけじゃ伝わんない』という本では、「会話がうまい人ほど、“曖昧な言葉”をそのまま受け取らない」と語られています。

 つまり、「その人が頭の中で何をイメージしているのか」を、少しずつ特定していくのです。

言葉は人によって意味が違う

 本書では、まずこんな話が出てきます。

私は旅行が好きなのですが、憂鬱なのがその「準備」です。
必要なものを適当にカバンに入れていくと荷物が重くなりすぎる。
荷物を思い切って減らしたら、現地が予想より寒くて、上着を買ったこともあります。
「準備」という言葉を、私たちは人生のどこかで学びます。
でも、『準備』の仕方は人によってまったく異なります。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

「準備しておく」という言葉は、みんな知っている。

 ですが、前日に確認する人もいれば、1週間前からリストを作る人もいる。
 つまり、「準備」という単語だけでは、中身がまったく共有されていないのです

会話がズレる原因は「イメージの違い」

 本書では、さらにこう続きます。

たとえば、老後の準備。
以前、テレビで国民年金生活をしている方のインタビューを見ました。
この方の国民年金の受給額は月々およそ7万円。
生活していくにはかなり厳しい、という内容でした。
はたして、この方は「老後の準備をしていた」と言えるでしょうか?
国民年金は、少なくとも10年は支払っていなければ受給資格が得られません。
だから、老後の準備をまったくしていなかったわけではありません。
問題は、どこまでやれば「準備が十分できた」かが人によってちがうことです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 人は、「同じ言葉」を使っているだけで、同じ意味だと思い込んでしまう。
 ですが実際には、頭の中のイメージが違う

 だから、「ちゃんと準備したのに怒られた」「普通に言っただけなのに伝わらなかった」みたいなことが起きるのです。

会話がうまい人は「イメージ」を探る

 本書では、最後にこう語られています。

「準備」は、パッとイメージが浮かばない言葉です。
「旅行の」や「老後の」のように、範囲を絞ってはじめて少しイメージできる言葉です。
ただ、それでも人それぞれ旅行や老後の準備のイメージは大きく異なります。
人によってイメージが大きく異なる言葉が問題を引き起こすのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 これは、コミュニケーションの本質です。
 会話がヘタな人ほど、「言葉そのもの」を受け取って終わる

 一方、会話がうまい人は違う。

「この人の言う“準備”って、具体的に何だろう?」
「どこまでを想定しているんだろう?」
「どういう状態をイメージしているんだろう?」

 と、「相手の頭の中」を見に行く
 だから、すれ違いが減るのです。

「言葉」ではなく「イメージ」

言語化だけじゃ伝わんない』は、「会話力」の正体を教えてくれます。

 それは、語彙力でも、話術でもありません。
 相手の使っている「曖昧な言葉」を、そのまま放置しないこと。

 そして、具体例を聞く。場面を想像する。範囲を絞る。イメージを確認する
 つまり、「言葉をイメージへ変換していく力」なのです。

 だから、本当に会話がうまい人は、「わかりました」で終わらない。

「ちなみに、どういうイメージですか?」
「たとえば、どんな感じですか?」

 そうやって、相手の頭の中にある「ぼんやりしたイメージ」を、一緒に輪郭化していく。

 その積み重ねが、「この人とは話しやすい」を生み出しているのです。

ヤギワタル
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。