政府「骨太の方針2026」に書かれた「等」というたった1文字に製薬業界が期待するワケPhoto: 医薬経済社
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

「創薬・先端医療が日本の成長を支える重要分野として位置付けられたことは、大変意義深い」

 日本製薬工業協会の宮柱明日香会長(写真)は、政府が7月21日に閣議決定した「骨太の方針2026」について、文書で見解を示し、大いに歓迎した。

「とくに、医薬品の初収載時における適切な価値評価をはじめ、革新的新薬のイノベーション評価をさらに評価する方向性が明記されたことを、重要な前進として受け止めている」とポイントを挙げた。

 図に、今回の骨太の原案段階(7月8日)から確定版に至る過程で、追記された文言を示した。薬価のイノベーション評価に関して、宮柱会長が「重要な前進」と評価した文言は最後の部分にあたるが、これは原案段階から示されていた。

 製薬団体幹部らが精力的にロビー活動を行い、自民党の厚生労働関係議員が動き、その成果として盛り込まれた代表的な文言が「米国の医薬品に係る最恵国待遇(MFN)価格政策」だ。ほかにも「バイオ後続品の国内生産体制の整備」「流通体制の強靭化」など、医薬品に関連する業界の意向を反映したキーワードが並ぶ。

 ただ、結びの語まで見てみると、例えば、米MFN対応に関しては「目指す」であり、薬価のイノベーション評価も「検討を進める」というものだ。最終的にどうするかは何も確約していない。これらとは対照的に、最も確定的な書きぶりになっているのは「経済・物価動向」で始まる一文になる。ここには「27年度薬価改定を実施する」と、はっきり記載されている。

 過去の中間年改定実施に向けた骨太の内容を表に示した。「骨太2020」から21年度改定にかけては、「毎年改定の実現」に強い意欲をのぞかせていた菅義偉氏が首相に就任した時期。骨太の「新型コロナウイルス感染症による影響も勘案」という記載に沿って、コロナ影響の緩和を図りつつ、平均乖離率の「0.625倍超」という基準で、対象範囲を決め、初の中間年改定が断行された。

 次の23年度改定に向けて、岸田文雄政権が策定した「骨太2022」には、中間年改定を含め、薬価に関する記載は盛り込まれなかった。しかしそれでも、前例を踏襲する格好で「0.625倍超」を対象とする改定が行われた。

 そして、3度目はどうなるかと注目された25年度。「骨太2024」には「その在り方について検討」と記載された。24年10月の衆院選後に影響力を増した国民民主党が中間年改定の廃止を強く迫ったものの、製薬業界が望む「廃止」という結論は導かれず、石破茂政権の下で改定は実施された。

 過去3回の骨太と、骨太2026を比べると、中間年改定という観点では、25年12月の大臣折衝(片山さつき財務相と上野賢一郎厚労相)で「着実に実施する」と決めたところから、骨太でさらに「実施する」とクギを刺した格好だ。