シソンヌじろうの「3秒の間」が絶妙…にじみ出る“意外な一面”〈風、薫る第43回〉

シソンヌ じろうの「いや→助かる」の間合いが最高

 フユの家は意外と広くて、ちゃんとした家だった。貧乏長屋とは違う。

 康介もものわかりのいい人物だし、本がたくさん部屋にあるので、教養もありそうだ。

 推察するに、それなりの生活をしていたが、夫が怪我して働けなくなったため、フユが「恥をしのんで」忌み嫌われる看病婦の仕事をしているのだろう。

 康介は、直美たちの診立てを聞いて、知識に裏付けられたものがあることに気づく。

 でも最初は、「私のために申し訳ない。あなた方に看護していただいても、今さらこの足が良くなるわけではありません。どうか、お引き取りください」と遠慮するが、

「洗髪」
「いや、それは(長い間)助かる」
「お布団を干して枕も洗いましょ」
「いや、(間)助かる」

 と、いや→助かるを2回繰り返す間合いが巧い。その間に申し訳なさと、でも困っているから助けてもらえるとうれしいという葛藤がみごとに滲む。しかもダメ夫ではなく、怪我さえしなかったらちゃんと家庭を支えていたのだろうという雰囲気まで感じさせる。さすがのシソンヌじろう。お笑い芸人だが俳優としても活躍していて、朝ドラもこれが3度目の出演になる。

 見習い生たちよりも、康介のほうががぜん気になってしまった。

 洗髪してもらって、きれいになった寝具のうえで、癒やされている夫の姿に明るい日の光が差し込んでいる。

 フユが康介を雑に扱っているわけではない。病院の仕事が大変で手が回らないのだ。換気やシーツの取り換えや赤ん坊の世話などをしていたら、もっと生活に手が回らなくなる。それでも台所の用具だけは手術用具のようにまっすぐ並べられていることから、フユが本当はきちっとしていることがわかる。

 これだけ几帳面だったらシーツくらいはさくさくきれいに取り替えることができそうだけれど、そこも几帳面に徹底的に就業時間内に確実にやらないといけないことと、そこまで手が回らないことを切り分けているのかも。