2027年3月期も減益予想のトヨタを含めて逆風が続く自動車業界
「トヨタ自動車は2024年3月期、過去最高益となる5兆3529億円もの営業利益を叩き出しました。しかし、最新の決算では2027年3月期の営業利益は3兆円の予想と発表されました。2024年3月期のトヨタグループ総販売台数は約1109万台に対し、2027年3月期は約1118万台と、販売台数は増加する計画にもかかわらず、この3年で利益が44%ほど減少する見込みです」(山和証券の志田憲太郎さん)。
コロナ禍の後、「販売価格を上げても値引きはしなくていい」という“黄金期”を謳歌した国内自動車メーカーが、現在は「米国関税」「中東情勢」「EV(電気自動車)戦略の失敗」という三重苦に直面している。
個人投資家はこの局面をどう読むべきか。国内7社の自動車メーカーの2026年3月期の決算が出そろったところで、業績や構造改革の内容などを分析しながら、各社の現状と今後を解説する。
(綾部和也、ダイヤモンド・ザイ編集部)
自動車業界の「黄金期」が
終わってしまった理由
まず業界全体の構造を理解するうえで欠かせないのが、自動車販売価格とインセンティブ(販売奨励金)の関係だ。インセンティブとは、販売台数によってメーカーがディーラーに支払う手数料のようなもの。コロナ禍後、自動車不足だった時期には販売価格を値引きしなくても売れたため、北米におけるインセンティブ率は一時2%台まで低下した。そんな中で自動車価格は上昇したため、2023年から2024年にかけてメーカー各社は記録的な利益を計上したわけだ。
「しかし、直近のインセンティブ率は7%近くまで戻ってきています。価格は横ばいなのに、ディーラーへ支払うインセンティブのコストが上昇しており、メーカー各社はその分の打撃を受けています」(志田さん、以下同)
米国関税や中東情勢による原材料コストの上昇も収益を圧迫しており、販売台数を維持できているトヨタ自動車でさえ利益は大幅に減少している。後述するマツダのように、販売台数そのものが落ち込んでいるメーカーへのダメージはさらに深刻だ。
トヨタについて志田さんは、「本来は5兆円程度の利益を出す実力がある」と断言する。では、2024年3月期に5兆3529億円もあった営業利益から、なぜ今期は3兆円まで大幅に減少する見込みなのか。
「トヨタの決算説明資料によると、過去最高益だった2024年3月期の営業利益と比較すると、今期の営業利益は米国関税の影響でマイナス約1兆3800億円、中東情勢の影響で約6700億円のマイナスを見込んでいます。他のマイナス要素も含め、合計でマイナス2兆3529億円となる見通しです。今期の販売台数は、2024年3月期と同程度を見込んでいるのに、関税や中東情勢などの自社でコントロールできない外部要因で利益が削られています」
トヨタ自動車チャート(7203・週足)チャート提供:マネックス証券
拡大画像表示
決算が発表された5月8日のトヨタの株価は一時、3088円の値をつけるも、決算発表後には2874円まで下落し、翌営業日には一段と下落して2800円を割る場面もあった。ちなみに現在は、2987円程度まで再び値を戻している(2026年5月22日終値。以下株価は同じ)。
では今後の、トヨタの株価や投資戦略についてはどうだろうか。
「トヨタの株価水準は、PBRが1倍になる3000円前後が1つの目安です。ちなみに、この2年間の平均株価は3000円あたりでした。つまり、2000円台前半まで下がれば押し目買いのチャンスとなり、逆に環境が好転すれば4000円台も視野に入ります。現在のような関税や中東情勢など、業界全体に悲観的なムードが漂っているときに買って4000円台まで株価上昇を狙うのもいいでしょう」








