「老後に後悔したこと」
ダントツのワースト1位は?

 なぜなら、500人以上の定年前後の人にインタビューして「老後に後悔したこと」の1位を挙げるとするなら、「次の準備をせずに、定年まできてしまったこと」といえるからです。これがダントツの1位。もう、これに尽きるといってもいいかもしれません。

 そして1位に近い内容ですが、2位は「会社員の自分しか持てなかったこと」への後悔。仕事中心の生活で、それ以外の楽しみに関心を持てなかったことを悔いているのです。

 もちろん、現役時代に会社の仕事に軸足を置いて突き進み、充実して過ごすことは素晴らしい。ただ、生涯最前線で働くというのはなかなか難しいですし、どこかで働き方をチェンジするタイミングがやってくると思います。そのため仕事に没頭する自分を客観視するような姿勢が大事です。

雇用延長をしても
補助的な仕事になる場合が多い

 近年は、雇用延長で働く人も増えてきました。定年後も今の職場にいるし、「次の準備」や「もう一人の自分を探す」ことは必要ないと考える人もいるかもしれません。しかし、雇用延長は補助的な仕事になってしまうケースが多く、仕事そのものが充実している人は少ない印象です。

 私は定年時に「選択の余地があること」が大切だと思います。雇用延長以外の選択肢を持つということですね。どんなことも10年続けていけば自分の土俵を持てるようになります。

 つまり、50歳から“自らの主体性のある何か”をスタートさせて、「もう一人の自分」を育て、定年時に雇用延長と退職のどちらを選ぶかを検討できるようにする。そうすれば定年後に「退屈だからやること」の割合は減り、充実した日々を過ごせるでしょう。

 雇用延長を選んだとしても、週3日から週4日は会社の仕事に取り組み、週に1日か2日はもう一人の自分を育てるという働き方もできるわけです。

70代以降にわいてくる後悔
「やりたいことをすればよかった」

 さて最後に、「老後に後悔したこと」の第3位を挙げましょう。第1位「次の準備をせずに、定年まできてしまったこと」、第2位「会社員の自分しか持てなかったこと」でしたね。どちらも会社生活と関連し、60代で感じやすい後悔です。

 しかし第3位は、70代以降になって心にわいてくる「もっと早く、やりたいことをすればよかった」という思いです。

 70代に入ると、会社員時代のことを口にする人は少なくなります。それよりも「我慢をせずに好きなことをやりたかった」と話すのです。例えばもっと若い時に海外旅行に行けばよかった、好きな絵を描くことに本気で取り組めばよかったと、人生で手をつけなかったことに後悔するんですね。

 60代と比べて70代になると体力が低下し、やりたくてもできないことが増えてきます。今年70歳になった私もそれを実感しつつあります。こういった衰えは、50代の時には全くわからなかったのです。

「嫌なことをしてきた」
ことへの後悔も

 また、「やりたいことをやる」と対になる要素ですが、70代になって「嫌なことをしてきた」ことの後悔も少なくありません。人によって違いますが、気の進まない仲間の会に参加したり、刺激のない単調な生活を送ってしまったりということでしょうか。

 これらのことを考えると、50代くらいから「自分の好きなこと」の割合を増やしておくことが、70代になっても活きてくるのです。

 70代以降になると、仲間内で「死」にまつわる話題も増えてきます。以前、元気な80歳の方に日々の生活の話を聞いていると、「いやぁもう、仲間の3分の1は死んでますから」と発言されました。確かに平均寿命から考えればおかしくないわけですが、改めてそう言われると驚きました。

 今年70歳になる私は、80歳までにあと10年しかありません。もう嫌なことをしている時間はないのです。