「今日はなぜか集中できない」「簡単なミスが増える」「考えがまとまらない」。そんな日は、能力や気合いの問題ではなく、体の水分不足が関係しているかもしれない。1万人以上の患者を診てきた医師が、医学的根拠に基づいて執筆した『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』から、一部を抜粋・編集しそのヒントを紹介する。
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集中力や思考力を低下させる水分不足
体の水分がわずかに減るだけでも、集中力や思考力は低下しうる。特に、体重の2%を超える水分を失うような脱水状態では、注意力や判断の正確さが低下することが報告されている(*1)。
こうした脱水によるパフォーマンス低下は、日常の場面でも起こりうる。たとえば、長時間の単調な運転では、軽い脱水状態でエラーが増加したという報告がある(*2)。
また、計算問題や考えながら手を動かすような課題でも、間違いが増えるなど、成績が落ちやすいことも示されている(*3)。
職場でも、日中に気づかないうちに軽い脱水が生じることは珍しくない。特に空調の効いた場所で長時間過ごす日や、長距離移動、連続したデスクワークでは、こうした気づかない消耗が起こりやすい。
厄介なのは、喉の渇きが必ずしも十分な指標にならない点だ。通常、体の水分が1~2%ほど減少した時点で渇きを感じるとされるが、その現れ方には個人差がある(*4)。さらに高齢者では、水分が不足していても喉の渇きを感じにくいことがある(*5)。
つまり、喉が渇いたと感じてから飲むのでは、補給のタイミングが遅れやすい。
喉の渇きを待たず、こまめに補給することが大切である。そうすることで、パフォーマンスが低下しにくくなる。万が一、補給が遅れて軽い脱水になっても、パフォーマンスは水分補給によって比較的短時間で改善しやすい(*6)。
1. Wittbrodt MT, Millard-Stafford M. Dehydration impairs cognitive performance: a meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2018 Nov;50(11):2360-8.
2. Watson P, Whale A, Mears SA, Reyner LA, Maughan RJ. Mild hypohydration increases the frequency of driver errors during a prolonged, monotonous driving task. Physiol Behav. 2015 Aug 1;147:313-8.
3. Piil JF, Lundbye-Jensen J, Christiansen L, Ioannou L, Tsoutsoubi L, Dallas CN, et al. High prevalence of hypohydration in occupations with heat stress-perspectives for performance in combined cognitive and motor tasks. PLOS ONE. 2018 Oct 24;13(10):e0205321.
4. Kenefick RW. Drinking strategies: planned drinking versus drinking to thirst. Sports Med. 2018 Mar;48(Suppl 1):31-7.
5. Kenney WL, Chiu P. Influence of age on thirst and fluid intake. Med Sci Sports Exerc. 2001 Sep;33(9):1524-32.
6. Zhang J, Ma G, Du S, Liu S, Zhang N. Effects of water restriction and supplementation on cognitive performances and mood among young adults in Baoding, China: a randomized controlled trial. Nutrients. 2021 Oct;13(10):3645.
(本稿は『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』から一部抜粋・編集したものです。)






