「自分には体力がない」「体力は生まれつきで決まる」――そう感じている人は多いだろう。年齢とともに体力が落ちていくことに、不安や諦めを覚える人もいるかもしれない。だが、同じ人でも、ある日は途中で力尽き、別の日は余力を残したまま仕事を終えられることがある。そこには単なる体力の有無ではなく、「体力の使い方」の違いがある。では、「体力がない」とは本当はどういう状態なのか。どうすれば改善できるのか。1万人以上の患者を診てきた医師が、医学的根拠に基づき、体力を整え、パフォーマンスを最大化する方法を解説した『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』から、一部を抜粋・編集しそのヒントを紹介する。
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体力は「毎日一定」ではない
「体力は生まれつき決まっている」という見方は、多くの人が抱きがちな誤解である。
「自分はもともと虚弱だ」「年齢のせいだ」と早々にあきらめてしまう人もいるが、実際には、体力の土台も、その日の活動の上限も、日々の過ごし方によって左右される。
「体力=心肺持久力や筋肉量」というイメージも根強いが、日々のパフォーマンスに直結しやすいのは、睡眠や日中のコンディションである。
これらが崩れないだけで、「いま引き出せる体力の上限」は大きく変わる。
また、「気合いで乗り切る」という姿勢は、体力の余力(残量)が十分にあるときには、力を引き出すきっかけになる。
一方、余力が底をつきかけている日には、その状態が判断の粗さやミス、回復の遅れを招きやすい。結果として、パフォーマンスの質が落ちることがある。
だからこそ体力は、長期の土台(最大体力)、いま引き出せる上限(実効体力)、当日の残量(余力)という3つをそろえて、戦略的に設計していくべきものだ。
体力に戦略を
体力が1日の終わりまでもつ日もあれば、途中で失速する日もある。そうした違いを行き当たりばったりで終わらせず、自分でコントロールできる部分を増やしていければ、日々のパフォーマンスは大きく変わる。
自分の体力の波を客観的に捉え、いまどれだけの余力が残っているかを確認する。そして、その日の状態に合わせて働き方を切り替える。スマートフォンでいう「低電力モード」のような考え方を身につければ、無理に踏ん張らなくても1日を安定して過ごしやすくなる。
体力を正しく理解し、戦略的に配分することで、自身のパフォーマンスは安定させられる。体力の解像度を高めることで、「崩れない働き方」は設計できるようになるのだ。
(本稿は『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』から一部抜粋・編集したものです。)
米国内科専門医(ABIM認定)、米国肥満医学専門医(ABOM認定)。Aloha Weight & Wellness代表
ハワイのThe Queen’s Medical Centerでホスピタリストとして入院患者の診療を担当する。
熊本大学医学部卒業後、日米で18年以上にわたり臨床に従事し、入院診療を1万件以上担当。Aloha Weight & Wellnessでは、体重管理を軸に、睡眠・食事・運動と医療を組み合わせて日々のパフォーマンス向上を支援している。
研究・執筆・学会発表は累計20件以上(査読論文、学会発表、専門誌への依頼原稿を含む)。受賞歴:Excellence in Research Award(University of Hawaii Internal Medicine Residency Program:2度)、ACP Hawaii Chapter Resident/Fellow Clinical Research(2016年3位、2017年1位)、Most Inspiring Teacher Award(University of Hawaii John A. Burns School of Medicine:2017年)。






