金融インサイドPhoto by Go Takano

金融庁が7月末に発表した最高幹部人事と大規模な組織再編。伊藤豊長官の続投が決定し、新設された「銀行・証券監督局」と「資産運用・保険監督局」のトップには同期の2人が就任した。表向きは着実な人事に映るものの、水面下では次期長官の座を巡るレースが始まっている。長期連載『金融インサイド』の本稿では、来年夏の長官人事で想定される「三つのシナリオ」を展望する。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)

2監督局長は90年入省組に
新設ポストの次長は柳瀬氏

 特別国会の会期延長により、例年より公表が後ろ倒しとなった金融庁の幹部人事。ふたを開けてみれば伊藤豊長官が留任し、2年目の体制が確定した。2代前の栗田照久氏、先代の井藤英樹氏は1年で退任しており、2年目突入は3代前の中島淳一氏以来となる。

 今回の人事異動は、同庁で8年ぶりとなる大規模な組織再編と連動している。従来の監督局と総合政策局を解消し、8月7日付で銀行・証券監督局と資産運用・保険監督局の2監督局体制へ改編された。

 この2局のトップには、旧大蔵省1990年入省組の同期2人が就任した。監督局長から銀行・証券監督局長に就いた石田晋也氏、総合政策局長から資産運用・保険監督局長に就いた堀本善雄氏である。

 また国会対応や人事、省庁全体の調整を担う官房担当部門が総合政策局から独立し、他の局に属さない同庁直轄体制となる。総括するのは新設ポストの次長(局長級)で、他省庁でいう官房長に匹敵する。このポストには総括審議官だった柳瀬護氏が就任する。

 このほか、証券取引等監視委員会事務局長には93年入省の新発田龍史・審議官が就任。同期の岡田大・政策立案総括官は総括審議官を改称して誕生する監督総括審議官に就いた。三好敏之・金融国際審議官、井上俊剛・企画市場局長、尾崎有・政策立案総括審議官兼国際総括官はそれぞれ留任となった。

 表面上は波風の立たない着地に見えるが、真の焦点は別にある。今回の組織改編を経て、次期長官を巡るレースが早くも混迷を極め始めた点だ。

 次ページで組織再編の構造的狙いと共に、幹部の年次や役職格付けを踏まえ、今後の長官選考で浮上する「三つのシナリオ」を解明する。