米国は今や二つのコカ・コーラ製品の間で割れているPhoto:Elizabeth Arvelos Coetzee/WSJ

 何十年もの間、ダイエットコークは息の長いポップカルチャーの象徴であり、ハイファッションの世界と同様に威勢のいいビジネスエリートの象徴でもあった。1980年代に華々しく登場した時は、ポーラ・アブドゥル、ホイットニー・ヒューストン、デミ・ムーアといったセレブたちから支持を得た。最近では、映画「プラダを着た悪魔」の続編公開に合わせて限定版デザイン缶のダイエットコークが発売された。

 ダイエットコークは世代を超えて愛されている。米ファッション誌コスモポリタンによれば、Z世代は「実際に煙を吸わずにストレスを解消」したいと考えており、ダイエットコークは彼らから「フリッジ・シガレット(冷蔵庫に入れたたばこ)」の役割を与えられている。ベビーブーマーの象徴的存在の人々からも支持されており、例えばビル・ゲイツ氏は、著名投資家ウォーレン・バフェット氏の「ダスティー・ダイエットコーク」(ダイエットコークにバニラアイスクリーム、チョコレートシロップ、麦芽乳の粉末を混ぜるという一風変わったもの)のレシピを再現する自身の動画を「TikTok(ティックトック)」に投稿した。

 昨年1月には、ホワイトハウスの大統領執務室にダイエットコークを届けさせるための 魔法のボタンも机上に再登場 し、厚生長官を大いにいら立たせた。

 こうしたソフトパワーはダイエットコークの熱狂的ファンにとって不安な真実を隠している。全米で人気が高まっているダイエット炭酸飲料は、実のところ姉妹商品である「コークゼロシュガー」だからだ。市場調査会社サーカナによると、この商品は、昨年の清涼飲料売上高の増加分の52%を占めた糖類ゼロ炭酸飲料ブームの一端を担った。それに比べ、ダイエットコークの販売量は2006年に人気のピークを迎えた後はほとんど横ばいの状態が続いている。