老後の後悔は、ある日突然生まれるものではない。その多くは、とくに中年期のなにげない選択の積み重ねによって生まれる。では、人生の後半になって「やっておけばよかった」と悔やみやすいことは何だろうか。医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン氏が書き、世界20か国以上で続々刊行されている『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』からヒントを紹介しよう。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)

老後に「人生を後悔する人」の残念な共通点・ワースト1Photo: Adobe Stock

「40代の運動」が老後のQOLを決める

「最近、疲れやすくなった」「お腹まわりの脂肪が落ちない」

 40代に入り、そんな体の変化を感じてはいないだろうか。多くの人はこれを「年だから仕方ない」と受け入れてしまう。しかし、医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオンが書いた『筋肉が全て』によれば、この時期の過ごし方が将来の運命を大きく分けるという。

 老後になって、「もっと若い時期に気をつけて体を動かしておけばよかった」と後悔する人は少なくない。なぜなら、筋肉の衰えが奪うのは筋力そのものではなく、行きたい場所へ行く自由や、やりたいことを楽しむ力だからである。

 また本書は、現代人の抱えるさまざまな不調や多くの病気の原因が、「筋肉の不足」にあると明らかにしている。私たちが想像する以上に、筋肉の崩壊は早くから、そして静かに進行しているのだ。特に40代半ば以後の数年は、筋肉を守るための「勝負の年」だという。

今日から始める

 筋肉を維持するための努力を怠ると、どのような残酷な現実が待っているか。著者は次のように警告している。

 適切な食事と筋力トレーニングを怠ると、30代から始まる骨格筋量の減少(サルコペニア)と筋力の低下(ダイナペニア)は、50歳までにかなり顕著になる。
 サルコペニアが年間約0.8~1%、ダイナペニアが2~3%の割合で進行する。筋肉減少と体脂肪増加が同時に進むと、サルコペニアと肥満を同時に抱える「サルコペニア肥満」に至る。
 サルコペニアも肥満も代謝の悪さの反映なので、サルコペニア肥満は、深刻な代謝障害や致命的な心血管疾患のリスクを高める可能性がある
 だから運動する必要がある。筋トレは見た目や自己満足のためではないのだ。――『筋肉が全て』より

 筋肉が減少し、代わりに脂肪が蓄積する「サルコペニア肥満」は、心血管疾患などの命に関わる病気のリスクを跳ね上げる。筋肉は体を動かすためだけの器官ではない。代謝を支え、あらゆる病気から身を守る「鎧」なのだ。

 筋トレをしないということは、この最強の鎧を自ら脱ぎ捨てる行為に等しい。老後になって自分の足で歩けなくなり、病気に苦しむようになってから「もっと若い頃から鍛えておけばよかった」と嘆いても、後悔先に立たずである。

「筋肉は、自分の意志で鍛えられる唯一の臓器」だというのが著者の主張だ。

 忙しい、疲れている、今日は遅くなった、明日用事があるから自重しよう……。筋トレを先送りにする理由はいくらでも見つかる。しかし、その言い訳に甘えるかどうかは自分次第だ。

 40代は決して手遅れではない。未来の自分が後悔しないために、良質なタンパク質をとり、今すぐ筋力トレーニングを始めよう。今日のスクワット1回が、あなたの老後を救うのだ。

(本記事は、ガブリエル・ライオン著『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』に関連した書き下ろし記事です)

ガブリエル・ライオン(Dr. Gabrielle Lyon)
医師(DO)
イリノイ大学で栄養科学の学部課程を修了後、セントルイス・ワシントン大学において老年医学・栄養科学の臨床・研究フェローシップを修了。健康、パフォーマンス、老化、疾病予防におけるタンパク質の種類および摂取量の実践的応用に関する分野の専門家、教育者として活躍している。筋肉についての最新研究を網羅した本書は全米で大きな話題を呼び、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、世界各国での刊行が続いている。