手軽に始められる朝食抜きや1日1食ダイエット。しかし医師の目から見ると、長期的に続けることには慎重にならざるを得ない根拠がある。短期絶食のデメリットを、データとともに整理する。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の新刊『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)
絶食明けの食事で、血糖値が想定以上に上がる
短期絶食にはメリットもある。
しかし同時に、見落とされがちなデメリットも存在する。
その一つが、絶食明けの食後血糖値の上昇だ。
朝食を抜いた日の昼食後は、朝食を食べた日の昼食後と比べて、血糖値がより高い値を示すことがわかっている。
空腹の時間が長いほど、次の食事で血糖値が急上昇しやすくなる――これは、絶食を続ける上で知っておくべき基本的な体の反応だ。
「朝食を食べない習慣」が健康に与える影響
短期絶食はメリットだけでなく、デメリットもあります。その代表的なものが、絶食明けの食事では食後の血糖値が通常よりも上昇してしまう現象です。
たとえば朝食を抜いた場合の昼食後の血糖値は、朝食を食べた場合の昼食後の血糖値よりも高い値を示します。では、朝食を食べない人と食べる人とでは、長い目で見た場合、どちらの人が健康なのでしょうか。
米国での研究では、朝食を食べない人の方が食べる人よりも肥満や高血圧を発症しやすいという結果でした。さらに、学生の場合は、朝食を食べない学生の方が成績が悪かったそうです。
一般的に自己流の絶食や節食は、栄養欠乏や筋肉量減少のリスクがあります。持病がある人は特に注意が必要です。また栄養だけでなく、水分不足、すなわち脱水になる危険もはらんでいます。絶食時には水分摂取に常に気を配ってください。
このように1日1食や朝食抜きのような短期絶食ダイエットを何年間も続けることには、私はあまり同意できません。
米国での研究によると、朝食を食べない人は食べる人と比べて、肥満や高血圧を発症しやすい傾向があるという結果が出ている。
また学生を対象にした調査では、朝食を抜く学生の方が成績が低い傾向も報告されている。
これらはあくまで研究結果の一例であり、個人差もあるが、長期的な朝食抜き習慣がリスクと無縁ではないことを示唆するデータとして参考になる。
自己流の絶食が招く、3つのリスク
医師が特に懸念するのは、自己流で続ける絶食や極端な節食だ。
主なリスクとして、次の3点が挙げられる。
一つ目は栄養欠乏。
食事回数を減らすことで、必要なビタミンやミネラルが不足しやすくなる。
二つ目は筋肉量の減少。
たんぱく質が十分に摂れないと、体は筋肉を分解してエネルギーに変えようとする。
三つ目は脱水。
食事には水分も含まれているため、食事回数が減ると水分摂取量も知らず知らずのうちに不足する。
絶食中は、意識的に水を飲む習慣が重要だ。
持病のある人は、絶食や節食を始める前に必ず医師に相談することを勧める。
体への影響は個人によって大きく異なるためだ。
食事制限を検討しているなら、まずかかりつけ医や栄養士に相談することを出発点にしてほしい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)
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ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
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基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ