米国が栄養指針を「大転換」
新しい食事戦略の世界潮流とは?
ここで紹介したいのが、2026年1月7日、米国政府が発表した新しい「米国人のための食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans 2025–2030)」だ。
この改訂は、過去40年の米国の栄養政策を大きく転換するものとして注目されている。
ポイントは大きく3つだ。
第1に、白パンや菓子パン、精製度の高い穀物食品などの摂取を減らし、たんぱく質と良質な脂質を中心に据えつつ穀物はできるだけ全粒のものを選ぶという方針転換だ。第2に、たんぱく質の推奨摂取量を「体重1kgあたり1.2~1.6g」へと、従来基準より大幅に引き上げたこと。そして第3に、超加工食品(Ultra-Processed Foods:UPF)と添加糖を、明確に「健康を損なう要因」として位置づけたことだ。
新しいスローガンは「Real Food(本物の食べ物)を選ぼう」。精製炭水化物や超加工食品に偏った食生活から、たんぱく質・野菜・良質な脂質・全粒穀物など、栄養密度の高い食品を中心に据える方向への、国家レベルの軌道修正といえる。
そしてその背景には、近年急速に発展してきた「パフォーマンス医学(Performance Medicine)」の知見がある。これは、病気を治す医療ではなく、エグゼクティブやアスリートが最大の出力を維持するために、食事・運動・睡眠・ホルモン環境を医学的根拠に基づいて設計するというアプローチだ。
その中核に位置づけられているのが、「ニュートリショナル・ストラテジー(栄養戦略)」である。食事は単なる栄養補給ではなく、「翌日の意思決定の質」を決める変数として扱われている。
40代以降の日本のビジネスパーソンにも、この発想は十分に応用できる。
40代男性が押さえるべき
4つの「戦略栄養素」
では、テストステロンを含むホルモン環境と日中の認知パフォーマンスを支えるために、特に意識したい栄養素は何か。優先順位の高いものは、次の4つに集約される。
(1)たんぱく質
筋肉、酵素、神経伝達物質の前駆体となるアミノ酸の供給源だ。テストステロン自体はコレステロールから合成されるホルモンだが、たんぱく質は筋肉量や体組成の維持を通じて、40代以降のホルモン環境を支える土台となる。
日本のビジネスパーソンの食生活は、おにぎり、麺類、菓子パンなど糖質中心になりやすく、たんぱく質が慢性的に不足しているケースが多い。前述の米国DGA改訂で示された「体重1kgあたり1.2~1.6g」は、サルコペニア(骨格筋量の減少)予防やホルモン維持の観点からも合理的な水準だ。もっとも、この数値は専門家の間でも評価が分かれる新しい目標値であり、絶対的な基準というより「不足しがちな世代が意識すべき一つの目安」と捉えるのが現実的だ。
体重70kgの男性なら、1日84~112gが目安となる。3食それぞれに、肉、魚、卵、大豆製品をきちんと配置することが基本だ。







