菓子パンやスナック菓子ではなく、素焼きナッツ、ゆで卵、無糖ギリシャヨーグルト、ビターチョコレート(カカオ70%以上)を選ぶ。たんぱく質と良質な脂質を補給することで、夕方までの集中力が維持されやすくなる。

40代からの栄養戦略は
「何を食べないか」が重要

 米国の新ガイドラインで最も注目されたのが、超加工食品(UPF)への明確な警告である。

 UPFとは、工業的な加工と添加物によって本来の食材の姿を留めていない食品の総称で、清涼飲料、菓子パン、加工肉、即席麺、菓子類などが該当する。近年の研究では、UPF摂取量の多さは、肥満、2型糖尿病、心血管疾患、うつなどのリスクと関連することが一貫して報告されている。さらに男性の生殖・代謝機能についても、2025年の比較試験で、UPF中心の食事が体重や脂質指標、生殖関連ホルモン、精子の運動性に影響し得ることが示され始めている。

 40代以降の栄養戦略において、「何を食べるか」と同じくらい重要なのが、「何を食べないか」だ。コンビニで食事を済ませる日でも、菓子パンと清涼飲料の組み合わせを、おにぎり+ゆで卵+サラダチキン+無糖の飲み物に置き換えるだけで、栄養プロファイルは劇的に変わる。

40代からの体をつくる食事
シンプルな鉄則

 第2回でお伝えした「運動」、第3回でお伝えした「睡眠」、そして今回の「栄養」。この3つは、男性更年期対策における3本柱であり、いずれもテストステロン環境を支える独立した変数だ。

 しかし、どれも気合や根性で続けるものではない。あらかじめ生活の中に組み込み、意志の力を使わずに継続できる仕組みをつくる――これが、忙しい40代に唯一機能するアプローチである。

 40代以降の栄養戦略は、ダイエットでも禁欲でもない。米国の新ガイドラインが示したとおり、「Real Foodを中心に据え、超加工食品と精製糖質を遠ざけ、たんぱく質と良質な脂質をしっかり取る」という、極めてシンプルな原則に立ち返ることだ。

 完璧を目指す必要はない。ランチの食べ順を変える。間食をナッツに変える。朝食に卵を一つ足す。コーラを炭酸水に変える。

 そうした小さな積み重ねが、半年後、1年後のホルモン環境とコンディションを大きく変えていく。

 連載を通じてお伝えしてきたように、40代以降の不調は、決して「年齢のせい」ではない。運動・睡眠・栄養を戦略的に設計することで、コンディションはまだ十分に取り戻せる。そして、それは個人の健康問題にとどまらず、第1回『「若い頃のように働ける人」と「急にやる気を失う人」40代で現れる決定的な違い』で触れたとおり、企業や日本社会全体の生産性に直結する課題でもある。

 今日からできることは、驚くほどシンプルだ。ぜひ、一つでも実践に移してもらいたい。