よかれと思ってやったのに、なぜこんなことになってしまうのか。
優秀なマネージャーは、「少しだけ演技」する。あえて「演じること」を選べば、「部下に信頼される」「会社に評価される」「自分も疲れない」職場になる。そんなリーダーの実践的なふるまい方をまとめたのが、『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』(本田淳也著)である。本稿では、同書の内容を一部抜粋して紹介する。

「無能すぎるリーダー」が無意識にやってしまうこと・ワースト1Photo: Adobe Stock

リーダーの「良かれ」が空回りするとき

知り合いの社労士と話していて、「う~ん」と思ったことがありました。

「うちの事務所は給与を変えずに週休3日にした」と誇らしげに話していました。
確かに、休みが増えるのは一見良さそうです。

でも、部下の本音はどうでしょうか。
「週休2日でいいから、今より給与を上げてほしい」
そう思っている人も、少なくないかもしれません。

私はこれまで多くの相談を受けてきましたが、「制度は整っているのに辞める」、「良いことをしているはずなのに不満が出る」というケースは珍しくありません。

「働きやすい職場づくり」の落とし穴

別の会社では、「誕生日は特別休暇にしよう」と考えたリーダーもいました。
「自分の誕生日に休めたら嬉しいよね」という思いからです。

ところが実際には、「平日の誕生日より、土日にくっつけて連休にしたい」という声が多かったそうです。
誕生日に一人で休んでも、やることがない。
そんな本音もあったのです。

部下は「本音」を言いにくい

リーダーが「良かれ」と思って制度をつくっても、部下の本音とズレていることは珍しくありません。

なぜなら、部下はリーダーに本音を言いにくいからです。

「せっかく考えてくれたのに文句を言うのは悪い」「わがままだと思われたくない」
――そう考えて、表面的には「ありがとうございます」と答えます。

だからこそ、リーダーは一歩踏み込んで考える必要があります。
「この制度で部下は本当に喜ぶのか?」と。

次の次まで読み解くという視点

仕組みを変える前に、2~3歩先まで読み解くこと。
それが、部下の本当の気持ちに近づくためのヒントになります。

「週休3日にする」→「給与が変わらないのは嬉しい」→「でもこの先に給与を上げにくくなる」→「物価は上がり続け、生活は苦しくならないか?」

こうした思考を巡らせることで、見えてくるものがあります。

大切なのは、「部下のため」という思い込みを一度疑ってみることです。
自分の価値観を押し付けていないか。
そう問い直すことが、社員が本当に喜ぶ職場づくりにつながります。

(本稿は、『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の発売を記念したオリジナル記事です)